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□光のなかで 高主
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ガタン ゴトン。
珍しく先輩と遠出した帰りの電車。
あったかいなぁ…
外はまだ肌寒いっていうのに、窓から射し込んでいる光は春の日差しみたいで。
暖かさが眠気を誘ったのか、先輩はさっきからがくんがくんしている。
「先輩、寝ててもいいですよ。着いたら俺起こすんで。」
「んー…」
ガタン…
電車の振動で先輩の頭が俺の肩にもたれかかる。
…可愛い。
こんなにあどけない顔して。
微かに聞こえる寝息が愛しい。
周りをキョロキョロ見渡して、誰もいないことを確認してから、
片手で腕を回して、先輩の短い髪を撫でる。
ガタン
先輩って普段俺に甘えてくんないし。
ゴトン
今だけならいっか。
今だ…け…。
その後結局寝てしまった俺(ら)が降りる駅を乗り過ごして、
先輩に大目玉くらったのは言うまでもないけどね。
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