NOVEL
□★飛べない鳥
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序
近頃の沖田総司は、少し変だ。
とりあえず
前より綺麗になった。
楽しそうに笑っていたはずなのに、ふと伏せられる目。
以前より食が細くなったらしく、一段と細くなった四肢。
でも以前より積極的に人を斬るようになった。
無邪気に笑う姿が陰を潜め、曖昧に笑う沖田がよく見られた。笑っていても、瞳には影が見え隠れしていた。
でも、そんな沖田に
「どうしたのか」
とは、誰も聞けなかった。だいたいの原因は分かっている。
でも、誰もどうすることもできない。
「あいつのせいっすよ」
永倉が、酒を飲みながら土方に愚痴る。
「あいつが、沖田さんを変わらせたんだ……」
永倉が猪口を握りしめ呟いた。でも、その永倉だってどう声をかけたら良いのかわからなかった。
土方は、月を見上げながら酒をあおる。そして、何か思案げに眉を寄せていた───。