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□立海が幸真みれ(雪まみれ)
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「寒いな」
ドアを開ければ鼻を真っ赤にした赤也が俺の家の玄関を小さな雪だるまで埋め尽くさんとばかりしていた。
「赤也、流石に手袋は忘れていなかったな」
「へへ、当たり前ッスよ」
「だが随分と薄着だな」
「思ったより寒かったッス」
馬鹿は風邪をひかないという言い伝えはあまりアテにならないからな、今は馬鹿でも風邪をひく。
「兎に角中へ入れ。朝食の準備をするまでストーブで暖まっているといい」
「いいんスか!?」
「風邪をひかれても困るしな。それに雪が降ろうと部活はある。朝食抜きだと体に悪い、いつものことだと高をくくっていては取り返しがつかなくなるぞ」
「うっ…はい」
「分かればいい、入れ」
「お邪魔しまーす…」
「休日は俺が一番に起きるため、朝食などはすべて自分が用意することになっている」
居間へ行きストーブをつけ赤也をそこへ促す。
「濡れた衣類は籠にいれておけ、ジャージはアイロンで乾かしておく。乾くまで俺の服を着ていろ、デカいだろうか」
「柳さんの服…いい香りVv←変態」
「馬鹿を言うな…しかしお前、いつから家の前にいた。言ってくれれば電話で話さずとも直接話せば良かったのではないか」
「ビックリさせたかったんスよ。外に出よーとしたらいきなり俺がドドーンとでてきて」
「確かに、ある意味驚かされたよ」
味噌汁を啜りながら窓の外を見れば、雪はまだ降り止まない。逆に先ほどより強くなっているようだ
しかし精市から連絡が無いところをみると部活が中止になるわけではなさそうだな。
あの精市が雪ごとにで休みにするとは、到底思えないが。
「赤也、食べ終わったら外に出てみないか?」
「え?でもまだ学校開いてないって…」
「あぁ、だから散歩するんだ。関東地方でこれだけ雪が降るなんて珍しいからな、どうだ?」
「あ、はいっ!!」
可笑しいな、俺は寒いのはあまり好まない。だからこんな寒い日は必要以上に外に出たくないものだ。
なのに今はこの天候に浮かれている自分がいる。
赤也だけではなかった
銀世界の魅力に取り込まれたのは…
「その前に玄関の雪だるまをどうにかしなければ」