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□立海が幸真みれ(雪まみれ)
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PiーPiーPi
「ん…?」
只今の時刻、6時10分
休日の日の部活は9時からなので平日よりも遅めに起きる。
いや、今の時間も確かに平日より遅めなのだがアラームの時間には早すぎた。
いや早すぎるということもないが、常人は相手の都合も考えこんな時間に電話を鳴らすこともないだろう
「…着信だったか」
もう切れてしまった携帯を眺めながら、朝早くから何の用だとイラつく気持ちと折角電話してもらったのに出れなかったという残念な気持ちと申し訳ない気持ちが頭の中をグルグルしている。
我ながら、目覚めの悪い朝だ。
そう思い、着信履歴を確かめようとしたらまた着信がかかってきた。
携帯の画面に書かれている名前に思わずまだ寝ぼけているのかと目を疑った。
それとも時計が間違っているのか…
しかしここでまた切られてしまっては元も子もない。
思考を働かせるより先に反射のような感覚で通話ボタンを押した。
『もしもし柳さん?おはよーございます!!もしかして寝てました?さっきも一度電話したんですよー、気づいてくれましたかー!?』
電話ごしに聞こえてくるのは確かに俺の後輩だった。
『もしもーし、聞いてますか?まさか寝ぼけていないでしょーね?』
「あぁ、ちゃんと覚醒している。しかし、こんな時間にお前の声を聞いているとまだ夢を見ているようだ」
『むっ、失礼ッスね!!俺だって早く起きることあるんスよ!!』
「ふ、すまんな」
赤也もマジメになったのかと素直に喜ぶが、電話ごしのあからさまに嬉々した声に疑問を感じる。
「赤也、朝から元気だな。いつもそうだといいのだが…」
『えーだって嬉しいじゃないッスか!!一面銀世界ッスよ』
銀世界?
話が見えない。
異世界旅行でもしているのか?
「何の話をしている」
『あれ、柳さん外見てないんですか?』
赤也に促されカーテンを開ければ、確かに外は一面の銀世界だった
「雪、降ったのか」
車が通った後は若干溶けてはいるが、足を踏み入れていない場所は真っ白だった。
夜のうちに相当降ったのだろう、今はパラパラと降っている程度だ。
なる程、赤也がこんなに早く起きたのはこのためか。まぁありがちだとは思うが…
まだまだ子供と言うわけだな、赤也らしくていいといえばいいだろう。
『柳さんっ!!』
「なんだ?」
『今の時間なら、学校の校庭誰もいないッスよね?』
「あぁ」
『だから、俺たちが一番に行って校庭で遊びません!?きっと真っ白でキレイッスよ!!』
雪遊びか
別にかまわないが、俺が雪遊びをするキャラに見えるだろうか?
「だが赤也、今の時間はまだ門が開いていない」
『ガーンΣ( ̄□ ̄)!』
「ふ、まずはそこに焦点を置くべきだったな」
『ちくしょ…はくしゅっ』
「風邪をひくなよ?今どこにいる」
『…柳さん家の前』
…まぁ、これもありがちと言えばありがちな展開だな、うん
「はぁ、赤也のことだから朝ご飯も食べずに飛び出して来たのだろう」
『いや〜アハハ』
「今から下へ行く。玄関で待っていろ」
通話を切り、カーディガンを羽織り部屋を出た。