短編

□ゲームセット
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真っ青な空。ムクムクと真っ白な入道雲と花壇で可愛いらしく揺れてる向日葵が爽やかな夏を演出している。


木陰に入って溜息をつくオレはなんてこの季節に不似合いなんだろう。気を重くしている原因は、分かってる。



昨日、山本に告白されたからだ。ついでにキスまでされた。



そして今日、オレは山本の所属している野球部の応援をしに球場に来ている。どんな顔して会えば良いのか分からなくて、観客席には行けずに球場周辺をうろうろしている、オレ。情けなさすぎる。


『オレ、ツナの事、友達以上に好きだから。』


ふと、昨日の山本の言葉を思い出して顔が熱くなる。何時もの笑顔とは違う真面目な顔で、真剣な眼差しで。


好きって言われて嬉しい?分かんない、どうしよう。あんなに真剣に伝えてくるから、上手くかわすことなんて出来なくて、困る。キスなんてされたけど嫌じゃ、なかった気がする。そっと、唇に触れてみる。ああ、おかしいな、なんでこんなに胸が痛いんだろう。どうしよう、どうしよう。


突然、観客席がわっとざわめく。電光掲示板に映し出されているバッターの名前は山本。どうやら彼がホームランを打ったらしい。



どうしよう、どうしたい?


見上げた空は相変わらず嫌味なほど真っ青で、相変わらず向日葵は素知らぬ顔して揺れていた。それでも、さ。この唇は熱いままで、胸は痛いままなんだ。




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ゲームセット
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もうきっと答えは出てる。



fin

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