abandon dog

第八話/路地裏でのこと2
1ページ/1ページ





…………。

ヅラだ。ヅラがいる。


だけど、ヅラが出没したところで、

この状況を、どうしろと。


「高杉!おなご相手に何をやっておるのだ!!」


「ヅラ……今てめぇはお呼びじゃねえんだよ。」

「ヅラじゃない桂だ!」

あ、すげえ、名ゼリフ聞いちゃった

「…一言言っておくがな高杉、こうもうかうかしている場合ではないぞ」

「……あぁ?」


『……?』

どういうことだろう


「真選組だー!!!」



「!」

『!?』

うそ、土方十四朗の声だ!?

しかもかなり近い!

「……チッ、覚えとけよ」

高杉は舌打ち、すぐに逃げ、私とヅラだけが残された。

『…あんたは逃げなくていいの?』

「あんたじゃない桂だ」

テロリストがそんな簡単に名前教えていいのかよ。

「心配せずとも、ここには真選組は来ぬ」

『は?』

ぺた…ぺた…

『!!』

気持ち悪い足音が聞こえる。

え…なになに?なにがくんの?


ぺた…ぺた…


ヒョコッ!

『……………あ、』


エリザベスだー…


やばい、きもいかわいい、きもかわいい!


「[はじめましてエリザベスです]」


『は、はじめまして……』



「さっきの土方の声は、エリザベスが出してくれたのだ」

『…はっ?』

え、エリザベスが?

エリザベス、そんな特技があったの?


私がエリザベスを凝視していると、エリザベスはいきなり叫んだ。



あーーー!!


『!?』

やだ、叫んだ、喋った!?


しかも今の、土方十四朗の声だし!


すると今度は

この世は金と知恵でさァ

あ、総悟の声だ!!

「エリザベスにとって、声色を変えるなどたやすいことよ」

なぜか、ヅラが威張った。

『す、すごいですね…』

いやマジで。
エリザベスにこんな特技があったなんて。



「…さて、本題に入るか」

『?』

「お主、俺を捕まえなくていいのか?」

『…………』

そっか、私真選組隊士なんだもん、ヅラ捕まえなきゃ

『…た、逮捕します…?』

とは言ってもなあ、私、手錠持ってないや。


……ん?

あれ、そういやコイツ

『なんで私が真選組隊士って知ってるんですか』

「…さっきお主が叫びながら屯所を出ていくのを見かけたものでな。」

『それでも私、私服だし。屯所から私服で出るとか、一般人かもしれないじゃないですか』

私が軽い尋問を続けていると、

ヅラは

「……ハァ」

観念したようにため息をついた。

『……』

さあ吐けさあ吐け。


「………バイビー」

ボンッ

『古っ!て、え、煙玉…!』

煙が晴れたとき、そこにヅラはいなかった。

『…………』

は ら た つ !!


『………いつか絶対捕まえてやる。』


高杉も、ヅラも!



…でも、悪い奴じゃないんだよね。漫画を見てる限りは。


…もし、いざ捕まえるとき…

情けとかかけちゃいそうだな



…いや、

『捕まえてやる。…私は、もう銀魂読者じゃなくて、真選組隊士なんだから』


私は、しっかりと気持ちを改め、

………。

『…迷子から抜け出さなくちゃいけないんです。』


どうしよう、この状況。




∞ねくすとこんてにゅー

…………………・
あとがき
とりあえずこれで路地裏での話は終わります。

次回は、何が起きるかわかりません。

エリザベスが沖田声で言ってた「この世は金と知恵」は、今週間少年ジャンプで連載中の「バクマン。」という漫画のキーワードからいただきました。


 

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]