abandon dog

第七話/路地裏でのこと
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『迷子とかどんだけー…υ』

どんだけって、もう古いなあ…


…っていうか、さっきから、通りすがる人達の視線が痛いんですけど。なんで?


『……あ、』

…着物が乱れてる。
さっき総悟に追いかけまわされたとき、着物で走ったからか……

…私、犯されたみたくなってる

そりゃ、視線も痛くなるな


とりあえず、着物直そう…。


私は人気の無い路地裏へと入り、着物をただそうとした。


その時
「クク…」

『!?』

声が聞こえた。

この笑い方ってまさか……!


『……高杉晋助?どこ』
「おめぇの後ろにいるが?」

『え』

バッと後ろを振り返る。
目の前に、派手な着物を着た独眼の人がいた。

「おうおう…やっぱおもしれえ光景だなァ…」

『…何が』

「おめぇの格好だよ……色気ねえ奴が頑張るんじゃねえぜ……クク」

うわ。腹立つなーこいつ。

『好きでこんな格好してるんじゃない。どっか行ってよ』

「まあ、そんなこた言いなさんな…」

そう言いながら、高杉は私の長い髪を自分の指に絡ませ、遊んでいた。


『……何やってんの』

「バカな女はこうするだけで俺に堕ちんだよ」

『…何が言いたいんだよ。私がバカだってか?』


「ククク……」

なんだよこいつ。ずっとニヤニヤしやがって。変態かよ

「お前は、みるからにバカそうだが、普通の女とは違う匂いがする」

『………は?』

「お前、何者だあ?」

『………』

ドカッ!!

私は高杉の腹の溝を殴ってしまった。

「うぉわ!!」

高杉は高杉には似合わない声をあげ、壁まで飛んで行った。


「………何しやがるてめぇ」

『マヨネーズに、私の正体を探ろうとする奴は容赦なくぶっとばせって言われたから』

そう、私が異世界から来たことは、真選組の皆以外には教えるなって言われたんです。

なんでかは分からないけど。


「マヨネーズ…お前、幕府の犬か」


わお。
土方十四朗って言ったら真選組ってバレるだろうと思ってわざわざマヨネーズって言い換えたのに。

土方十四朗のマヨネーズっぷりは攘夷志士達にも伝わってるのか…

…どんだけー


でも、高杉に真選組って言ったら、今、殺されるよね。

……高杉、騙せるかな

『幕府の犬?違うし』

「じゃあマヨネーズって誰のことだよ」

『………』

「…とにかく、俺を殴ったには変わりねえ」

…どっちにしろ殺される運命だったのか


高杉は恐い顔で刀を取り出した。


えーと…

こういうときは、ゴリラから護身用にもらったこの武器だ、うん。

私は武器を取り出した。


「…なんだよそれ」

『果物ナイフ』

そんな顔で見ないでよ

しょうがないじゃん、ゴリラがこれしか持たせてくれなかったんだから。

「……ふざけてんじゃねえぞっ!」


高杉が私に向かって斬りかかってきた。


『…ふざけてないしっ!』

キィィン!!

私は高杉の剣を果物ナイフで受け止めた。

「……ほお、やるじゃねえか」

私達は真近で睨み合う。


そんな緊張に包まれた二人に、
いきなり大きい声が届いた。





「高杉!?
何をやっておるのだ貴様は!」



こ、この口調ってまさか……!










∞ねくすとこんてにゅー
…………………・
高杉の話でした。やっぱり高杉のキャラが掴みきれません。あの人、全体的に謎に包まれていらっしゃるから←
次回は、言わずと知れたあの方とあの生物の登場です

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