TWO!
□TWO!11
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新八が帰って、夕方になっても神楽は帰ってこなかった。案の定名無しさんは心配で、何度も玄関から外を見ている。
「どうしよう、もうすぐ暗くなるのに。知らない人について行ったりしてないかしら」
「おめーと神楽を一緒にすんなよ。大丈夫だ、あいつァ人を襲う事はあっても襲われるこたァないから」
むしろ返り討ちだしな、と経験者は語る。その名も俺。アイス勝手に食われて頭はたいたら数倍のパワーで頭をたたき割られそうになった。
その時、神楽の声が玄関から響いてきた。それに名無しさんが、ぱたぱたと向かう。
「神楽ちゃんお帰り! 遅かったね、心配したよ!!」
「名無しさん、ただいまアル。あと、私今日は友達の家に泊まるヨ」
「あら、お泊まり会? いいわねぇ、楽しんでらっしゃい」
「うん! 明日の朝には帰ってくるアル! 名無しさんのご飯食べたいから」
いってきまーす、と出て行った神楽を見て、俺は気づいた。
………明日の朝まで二人きり?
新八も神楽もいねーこの家で、二人きり?!
「ワン!」
「あ、いたの」
定春の出現に、少なからずテンションが下がった。
「それじゃ銀ちゃん、ご飯の支度するから洗濯物いれといてくれる?」
「あいあいさー」
よっこいしょ、と重い腰をあげてベランダに出る。しわ一つない服が、風でなびいている。名無しさんの服を手にした時、洗剤の匂いにまじって別の香りがした。昔から知ってる香りで、俺は自分が安心している事に気づいた。悔しいが、ここは「おかあさん」だな。