TWO!
□TWO!6
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扇風機の風が回ってくるのを感じていると、名無しさんがおもむろに口を開いた。
「みんな、しりとりしない?」
「あ? しりとりィ?」
「そう。暑い事を忘れる為に、涼しくなるような夏っぽい単語使って、ね」
えーめんどい、と答える前に新八と神楽が賛成したために、それができなくなっちまった。
……しょうがねーな。
「やってやらァ」
「ふふ、それじゃ私からね。『すいか』、はい銀ちゃん」
「あー、『かき氷』。次新八」
「り、ですか? うーん……『臨海学校』」
「『宇宙旅行』アル!!」
おい、それ夏じゃねーだろ。旅行つけりゃ夏と結ばれると思ってんのかコイツ。
そう思いながらも誰もツッコまねーのは、しりとりするだけで精一杯の気力だからだ。
ソファーに寝転がる俺と、向かい側で 水に濡らしたタオルを顔に当てる新八。神楽は扇風機の前を陣取り(このガキ)内輪を仰ぎながら床に正座するのは名無しさん。
いやなんで正座なんだよ。だれればいいじゃん。
そんなツッコミさえする気が起きねェ。
「私だね。『海』」
「海……みんなでいっその事 行くか」
「『海外』」
「『いやよいやよはやっぱりいや』ヨ」
「おいィィィィ! スルーかよ、ここまでスルーかよお前ら! しかも神楽のどこで区切ればいいの?」
「えっ、何がですか?」
「しりとりじゃなかったアル?」
ぽかんとした目で俺を見る奴らに、頭が痛くなってきた。
あーやっぱやめた、めんどくせェ。
「無し無し、今の無し。しりとりの続きやろうぜ」
「それより、怪談話しようヨ!」
神楽の明るい声に、俺は即答した。
そしてすぐに立ち上がる。そこをすかさず名無しさんが座った(やっぱ正座きつかったんだ)
「却下」
「えー、怪談良くないですか。ねえ名無しさんさん」
「うんうん、良いよ! 銀ちゃん、やろうよ」
「嫌だね! やりてーならお前らだけでやれ、俺はアレ……名無しさんの部屋にいるから」
「なんでわざわざ遠い部屋を選んでるネ」
「やっぱ恐いんだ銀さん。まあしょうがないですもんね、誰にでもそういうのはあるし」
「銀ちゃんが恐い話嫌いだったなんて、初めて知ったよ」
びっくり、と目を丸くする名無しさん。チクショーこのダメガネェェェェエエ!!