TWO!
□TWO!2
1ページ/5ページ
「銀ちゃーん、一緒にお風呂入ろうか」
夕食後、飲んでいたいちご牛乳を見事にはき出した銀さんは、すぐに名無しさんさんに思いきり怒鳴った。
………やっぱり、銀さんって名無しさんさんからしたら子供なんだろうなあ。
家のない名無しさんさんはここで暮らしている。今の所、依頼主からなんの連絡もなく、あっという間に1週間が過ぎた。
そして名無しさんさんの同居と同時に、銀さんの生活も一変した。
「………おはようございます、銀さん」
「ーす」
「銀さん、『お』が発音されてませんよ。すごい眠そうなんですけど」
「だっておめェ、アイツが来てから俺の生活リズムが完璧に狂って……!」
正確には、狂ったんじゃない。銀さんの元々の生活リズムがぐだぐだだったのを、名無しさんさんが直したにすぎないんだ。
就寝10時、起床7時。驚いたことに神楽ちゃんは素直に従っている(お母さんができたみたいで嬉しいとか言ってたなあ)
午前7時半、もぐもぐとご飯をつめこむ銀さんの隣に座って、慌ただしく動き回る名無しさんさんを眺めていると、神楽ちゃんが元気よくやってきた。
「グッモーニン、マミー!」
「えええええええええ!!(なんだ朝からこのテンションんん!!)」
「おはよう神楽ちゃん! ご飯できてるから、先に お顔洗っておいで」
「あいヨー!」
ルンルンと音符がつきそうな程軽快に、神楽ちゃんは洗面所へ向かった。
見てはいけないものを見てしまった気がしたんだけど。
「………銀さん銀さん、神楽ちゃんってあんなに素直な子でしたっけ」
「お前、名無しさんのオカンパワーなめんじゃないよ。ガキだったとはいえ、あのヅラや高杉を見事に手なずけてたんだからな。神楽なんて朝飯前だろーに」
「……マジですか…!」
名無しさんさんは本当に普通の人で、目立った特徴はない。
毒舌でもなければ猫かぶりでもなさそうだし口うるさくも変態でも暴力を振るいそうもない。
……あ、そうか。僕が今まで出会った女性の中で、唯一まともな人なんだ。
だからみんな、このキャラに癒されてるんだ(ああ、成程!!)
「おはよう新八くん、朝から忙しくてごめんねえ。お椀の用意もしてなくて」
「あ、おはようございます。大丈夫ですよ、おかまいなく」
「そんな遠慮しちゃダメよー、新八くんぐらいの歳は成長期真っ盛りなんだから! たくさん食べなくちゃ」
はい、とお椀に盛られたご飯は 普通で、あれっ、普通だ。
「だァから言ってんだろ新八。あいつボケとかツッコミとかわかんねーんだよ、古いから。古い人間だから。数十年前の女だから」
「…………」
逆に新鮮じゃないかな、このキャラは。