蜜/室

□指
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「高耶さん」

呼ばれて目を開けると、いやにさっぱりした様子の直江の姿。

こいつ……

オレが寝てた(いや、気ぃ失ってた?)間に自分だけシャワー浴びやがったなっ?
目で訴えてやると


「声はかけましたよ」


本当かよ。


「でも高耶さん、全然起きそうになかったので」


つーかそんなんなったのは誰のせいだ? あ?

貪欲なオレたちがアレで終わるハズもなく、
そのあと――も、まぁイロイロあって、、、
思い返すと自分で自分がコワイ。

うつぶせになって赤くなったり青くなったりしていると、


「高耶さん。そんなに……ヨカッタ?」


のぞきこむようにして直江が言った。
しかも、その効果をしっていて、あえて腰に響くような低音で、だ。

ちっ。

ムカついたから、


「ばーか!」


おもいきりにらんで
直江が手にしているミネラルウォーターのボトルをひったくり、


  カリッ


その指先を噛んでやった。

それでも、直江は笑っている。

多分、オレの顔が、真っ赤なんだ…………。









直江の「指」は、長くて、細ゴツくて、
繊細かつ容赦がない。
オレの五感も思考もナニモカモをめちゃくちゃにする。




けど、



オレは、



この指が、












――好きだ。







直江には内緒だぞ。



END


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