銀魂

□You are my chocolate
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You are my chocolate


「土方さん今日が何の日か知ってますかィ?」

今日は全ての人間が浮かれ騒ぐバレンタインデー。

土方は攘夷志士が…否隊士達が起こした問題の後始末でそれどころではなくそもそもその存在すら忘れていたのだ。

「まさか忘れてやした?悲しむだろうなぁ……」

「う…関係ないだろ!それに俺がなんで銀時にチョコをやらなきゃいけないんだよ」

わざとらしくジェスチャーまでつけて嘆く動作をする沖田に土方は焦りを隠しきれない表情と声音で告げる。

「なんでィ…折角土方さんの為に旦那を喜ばす方法を持ってきてやったのに…」
沖田はそう言うと土方を見て黒い笑みを浮かべる。

「知りたいですよねィ?協力しやすぜ」






◆◇◆◇◆◇◆◇◆

「今日はバレンタインデーだぜっ!!キャッホー!」
万事屋の厨房では銀時が訳の解らぬ歓声をあげながら甘い匂いを漂わせていた。
「銀さん……そんなに喜んでも…」
「トシちゃんはチョコくれないアル」

ソファーに座っていた新八と神楽がそう言いながら厨房に入ると不思議そうな表情を浮かべた銀時がいる

「なんで土方が俺にチョコをくれない事になるの?」
その疑問に新八と神楽は顔を見合わせると大きく溜息を吐き口を揃え

「「銀さん(ちゃん)も土方さん(トシちゃん)も男だからです(アル)」」


その瞬間万事屋に沈黙が訪れ一拍おいて銀時が崩れ落ちる音が響いた。


「銀さん(ちゃん)!!」
「騒がしいなコノヤロー。折角いいもん届けにきてやったのに旦那がこんな状態なら帰りまさぁ。あ〜あ折角土方さんがなぁ〜」

万事屋のその惨状を目撃するとそれだけを告げくるりと踵を返す沖田に銀時が後から腕を掴む。

「速ッ!!」

「あれ…旦那生きてやしたか。こりゃあ残念でィ」

「それよりも土方が〜って何?つかいいもんって何?」

いつになく真剣な表情の銀時だが得に動じる事もなく飄々と告げる沖田にもどかしさを感じられず銀時は詰め寄った。

「玄関に置いてありやすぜ。そいじゃ俺はこの辺で失礼しやす。ほらガキ共!テメェ達も行くぜ…ここにいたら二人の邪魔になる」

沖田はよく状況を理解出来ないでいる銀時の手を払い有無を言わせず二人を連れて万事屋を後にした。

沖田の後ろ姿を見送った後銀時は全速力で玄関の戸を開けた。



そこに居たのは

「土方?」

女装した土方。
頭は以前はそうだったであろう漆黒の長髪のカツラを被っており服はゴスロリ系で黒い生地に白いレースをにあしらったコルセットつきドレスワンピでスカート部分にはパニエがふんだんに使われていてミニだ。白と黒のニーハイに黒のブーツという何とも愛らしい格好の上に何故かメイクまでしてあるのだ。

しかしその肩には沖田のものであろう隊服が羽織られている。

「よ…よぉ。」

「土方!!何それ目茶苦茶可愛いんだけど!!!」

恥ずかしいのか朱に染めた頬を隠すように俯く土方にまた一段と愛しさが込み上げる。

土方の身体を抱きしめると室内へ促す。
その身体は冷たく冷え切っていて掛けられていた隊服からは土方への沖田の優しさを感じ銀時はふっと笑みを漏らしてしまい不思議そうに顔を覗き込まれ前かがみになったのは言うまでもない。


室内に入るとソファーに座り目が合ったのを合図に啄む様なキスを降らせ甘い一時を過ごす。

銀時はいつもは忙しくて恋人らしい甘い時間を過ごせなかった為か土方のいじらしさにか耐え切れなくなりそのまま土方をソファーに押し倒し濃厚な口付けをした。
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