私と赤也はとても美しい世界で暮らしおりました。その場所は地球のようにマスメディアや人の狂騒 車や電車などの狂騒が轟轟しく無く、静かと雖も閑散とでは無くどちらかと言えば虚静としていました。
人は私と赤也との二人しかおりませんから地球のように戦争や争いなどは全く有りません。その変わりに愛河に比目魚、烏鵲や鷺や沓手鳥、天華や君影草や虞美人草や月下美人や夢見鳥等の花鳥が常に咲き乱れておりました。そして季節は常に春でしたので花は枯れることはありませんでした。そこでの毎日は楽しく穏やかな生活でした。昼は花鳥等と戯れたり、他愛も無い話しをし、接吻や包容をしながら過ごし、腹が減ったら豊富に有る果物等を食べお腹を満たし過ごしていました。夜は全く寒く無いので莽莽と生い茂る叢に寝転び糠星のような星を二人して眺めながら何時の間にか寝て過ごしていました。孤独や侘しさ等の感情は一切涌きませんでした。だってこの世界で赤也と一生暮らせる程至幸なことがあの地球にそして私が生きてきた中でございましょうか。
しかしその生活はあの地球に生息する醜陋無下な人間によって無惨にも脆く崩れ去ってしまいました。ゆっくりと崩れ去ったのではありません。唐突に崩れ去ってしまったのです。
赤也は人間によってこの世界から消されてしまいました。その瞬間グラグラと地面は揺れ割れ叫び、鳥達は泣き叫びながら遠くへと逃げ、急激に寒くなり花は凋萎する暇無くドライフラワーと化し、周りは暗く幽幽しくなり真っ暗になりました。
私は悟りました。

この世界は

赤也がいたからあのように平安で穏やかで、
赤也がいたから花は咲き赤也がいたから鳥たちは集まり、
赤也がいたから虚静としていて、
赤也がいたから侘しさや孤独を忘れることが出来て
赤也がいたから、
赤也がいたから
赤也が
赤也がいて、世界が始まるのだ。

だから世界は崩れた

私はあの世界で出来なかった行為、つまり赤也に屍姦しようと思いました。ゆっくりと赤也が寝ているベッドに近付き、赤也の血塗れになってしまったワイシャツのボタンを一つまた一つと外してゆきました。赤也のボタンを外したワイシャツから雪肌には似合わない生々しい深紅の傷が見え私はまた嘔吐しそうになりました。さぁ最後の一つという時に誰かにその手を止められてしまいました。
私はそいつの顔を睨んでやりました。
「もう止めろよぃ。」
「何よ。無下な人間な癖に!」
「お前も人間だろ!」
余りのそいつの鮮烈な赤髪と人を馬鹿にした態度に私は赤也とあの世界のことをまた思い出し、殺してやろうと思ってしまいました。だけどそいつの目から青い液体がとめどなく流れているのを見て私は哀絶し啼泣するしかありませんでした。
私の涙からあの世界の退廃さが見え隠れしていました。



ガダカダガダガダと世界は崩れゆきて、世界は破滅しそして女子も哀叫し崩れ破滅してゆきけり。
その姿真に哀憐なりて、男ただただ哀叫しけり。












赤也祭に参加させて頂きました。

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