sweets high

□社会科資料室
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ひざまづいて丸い膝頭に唇を寄せると、いつだって毅然とした姿勢を保っている脚が僅かに強ばって震えた。
それには気付かないふりで、この子の体の中で一番固い皮膚に尖った歯を立てる。

「そこ、だめだ、そんな目立つ場所に痕をつけたら…だ、め」

校則で定められた丈をきっちり守ったプリーツスカートと、紺色のハイソックスの隙間に覗く、丸い膝があんまりなまめかしくて、そこに俺のしるしを残したくなった。

ただそれだけのことだったのに。
そんな艶っぽい声で俺を拒むから。

「目立たない場所ならいいの?」

上目使いで意地悪く尋ねると、潤んだ蜂蜜色の瞳が俺を睨んだ。

「いいわけが…、っ」

たっぷりと唾液を含ませた舌で、なめらかな脚の表面を舐め上げると、俺を叱責する声が不自然に途切れた。
どうせ、君が何を言ったところでこれからすることは変わらない。
だって火をつけたのは君なんだから。

吸い付くような感触の肌にねっとりと舌を這わせ、張りのある腿をさかのぼる。
息を詰めたクラピカの腰がぞくりと震えて、華奢な上体がバランスを崩した。
薄い肩がスチール製の棚に当たって、整然と並んでいるファイルや年代物の文献が無機質な音を立てた。

同じ空間にいるのに、誰にも不信がられることなく、二人きりで会える場所なんて学校の中にはほとんどなくて(家に帰れば思う存分会えるじゃないか、なんていう、デリケートな男心を解さない突っ込みはしないように)俺はいつも苛立ちと焦燥にさいなまれている。

今日だってクラピカは、下心丸出しのガキやらハゲやらに一日中付きまとわれていて。
なのに、それを迷惑がることもなく、更には薔薇の花みたいな笑顔を向けたていたりするものだから。
ついに俺は我慢しきれなくなって、無理矢理な理由をこじつけて、放課後の社会科資料室にクラピカを引っ張り込んだのだ。


学校の中でことに及ぶなんて、自分の立場を考えればあまりにも馬鹿げた行為だと思う。
あえて禁忌を犯して興奮を得るタイプの奴もいるだろうが、そういう性癖がある訳でもない。(まあいつもより多少は興奮するけど)
ただ、誰よりも禁欲的で理性的で生真面目なクラピカが、こんな常識を逸脱した場所で俺を受け入れてくれることに、どうしようもなく満たされる。
それだけのことだ。

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