sweets high

□帰宅
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…やけに静かだな。

いつもなら玄関のドアを開ける前から、ウボォあたりのけたたましい笑い声が聞こえるのに。
そろそろ適度に酔いが回る時間だが、全員が潰れて眠り込むには早すぎる。

いぶかしく思いながら、明かりの煌々と点ったリビングへ入ると、何故だかそこには全く人気がなく。
けれど、つい今しがたまで飲み会が繰り広げられていたような気配はあり。

何なんだ。

いつもなら素っ気なく、でもすごく優しい手つきでクラピカがハンガーに掛けてくれるはずのスーツの上着を、取りあえずソファの背もたれに引っ掛けようとして、そこにフィンクスの一張羅のジャージとウボォのくたびれたブルゾンが広げられているのに気が付いた。

こんなとこに散らかしとくなっつーの。
クラピカに叱られるだろうが。
でもまあ怒った時のクラピカもまた可愛かったりするんだけど。
だから時々わざと叱られるようなことをしてみたりしているわけだが。
ただ一度説教が始まると長いんだよな。
しかもウボォとフィンクスのせいで叱られるのは不本意だ。

そこまで考え至って、仕方なく男臭いジャージとブルゾンを手に取ろうとして。

その下に。

金色の柔らかな毛束が僅かに覗いているのが見えて一気に血の気が引いた。

「なっ…」

スーツがぐしゃりと丸まって足元に落ちたが、そんなこと構うものか。


まさかまさか俺の心配していたようなことが。
まさか。
クラピカに指一本でも無駄に触れたら出入り禁止ときつく言い渡してあったのに。


慌てて薄汚れた服を掻き分けるとそこに現れたのは。

座面の上で丸くうずくまるようにして、やけに穏やかな顔で眠り込むクラピカだった。



風呂上がりなのか、しっとりと濡れた金髪は、いつもより一段色が濃く見える。
ちゃんと乾かさないと風邪をひくのに。
俺が着古して捨てようとしていたシャツを、もったいないとパジャマ代わりに着たりして。
パジャマなんていくらでも新しいのを買ってあげるのに。
でもこれはこれで非常にそそられるからいいか。
いや、でも俺がいないときにこんな男心を刺激するような格好でうろついたりして。
下には何かちゃんと…あ、スパッツはいてる、残念。
いやいやいや。
これでいいんだ。
俺のシャツに生足は、俺しかいないときに。
ってそうじゃなくて。


「あれ?クロロ、お帰り。今戻ったの?」


クラピカの寝姿を前に、あれやこれやと考えを巡らせていた俺は、ふいに声を掛けられてびくりと振り返った。

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