sweets high

□図書室
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今年中等部に上がって来たズシがミトさんに会ってみたいって言うから、キルアも誘って三人で俺の家に向かってる途中だった。

「あ!俺、今日中に返さなきゃいけない本があったんだ!」

図書室で借りた本を通学鞄に入れっぱなしにしてることに気が付いた。
腕時計を見たら4時を少し過ぎたところで、今すぐ戻れば図書室が閉まる4時半にはきっと間に合う。

「一日くらい遅れたって平気だろ」

キルアはそう言ったけど。

「ちょっと走って返して来るし、二人で先に俺んち行ってて。ミトさんには言ってあるから」
「ちょ、ゴン!」

呼び止めるキルアの声を強引に振りきって、俺は全力で駆け出した。


だってこの本は。


―これを読んでみたらどうだ?冒険物で話も分かりやすい。それに、主人公がゴンによく似ている。


国語の課題で感想文を書かなきゃいけなくて、でもどんな本を読んだらいいか分からなくて、図書室で途方に暮れてたら。
白くて細い手が、するりとこの本を選んでくれた。

俺は本なんて苦手で滅多に読書なんかしなくて、でもクラピカが選んでくれたこの本はすごく面白くて夢中になって、あっと言う間に読み終わってしまった。
感想文も初めて先生に褒められて、すごく嬉しくて、クラピカにお礼が言いたかった。

たしか今日の放課後は図書委員のクラピカが貸出や返却を担当してるはずで、キルアと一緒じゃなく一人で行きたくて、タイミングを見計らっているうちについ忘れてしまった。


でもよかった。
これで思いがけなくクラピカに一人で会いに行かれる。


下駄箱で慌ただしく靴を履き替えて、階段を一段飛ばしで駆け上がる。
こんなところ先生に見つかったら注意されるところだけど、運よく誰ともすれ違わなかった。


図書室のドアの前で腕時計を確認したら4時27分。

何とか間に合った。

大きな深呼吸を2回して息を整えてから、重たいドアを押し開けた。

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