sweets,Inc.
□polka dot
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****P:
マチからの伝言を伝えたとたん、クロロは持つものも持たないで事務所を飛び出した。
何にせよ、これで今日の業務は終了。
私はクロロの後を慌てて追いながら、この後マチと何を食べようか何て、まだ呑気な事を考えていた。
その時までは。
****Q:
なんでマチがクラピカと一緒にいるんだ。
しかも俺とパクを見たとたん、入れ違いで店を出て行こうとするし。
「じゃあアタシはこれで。パク、行こう」
「待て、どういうことかちゃんと説明しろ」
擦れ違い様に腕を掴むと、気の強い瞳が俺を睨み付けた。
一応社長なんですけど、俺。
「別に説明することなんてないよ。ただの偶然」
「偶然て…」
図らずも睨み合う様な形になってしまった俺達を心配したのか、クラピカがマチを庇うように俺の前に立った。
そんな仕草の一つ一つが流れる様に綺麗で。
そして、思いがけなく愛しい人に会えた喜びで。
クラピカ以外の全ての事がどうでもいいと思えたその瞬間。
「クロロ、本当に偶然なのだ。私が見知らぬ人にしつこく食事に誘われて困っていたら、たまたま近くにいたマチさんが助けてくれたのだ」
一瞬で血の気が引くのが分かった。
****M:
ああ、言っちゃった。
こうなる前にさっさと別れたかったのに。
きっともう今日はショッピングモールには行かれない。
アタシは小さく溜め息をついた。
「ク、クラピカ、ナンパされたの?!」
クロロの回りの空気がみるみる冷えて行くのが分かる。
きっとパクも分かってる。
いいのか悪いのか、分かってないのはこの子だけ。
「ナンパ?私はナンパなどされていないが…なあ、マチさん」
クロロの出方にピリピリと緊張したアタシは、この子の鈍感さに救われた。
肩の力がすとんと抜ける。
「あー、さんはいらない。マチでいいよ、気持ち悪いから」
「今気にするのはそこじゃないと思うわよ」
それは多分パクも同じはず。
「ああクラピカ、どんな奴にナンパされたの?大丈夫だった?何か嫌なことされなかった?」
「大丈夫だ。すぐにマチが助けてくれたし…それに私はナンパなどされていない。ただ食事に誘われただけで…この街に来てからよくあることだ」
ああ、またこの子は。
「だから、世間じゃそれをナンパって言うんじゃないの」
「えっ…?!」
またそんなリアクションを。