sweets,Inc.

□cherry tower:side M
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もしかして…あれが噂の「天使様」だったりしないだろうね。

アタシはこの時ほど自分の勘の良さを悔やんだことはなかった。


side:M


今日のアタシは久しぶりに一日オフで、夕方からパクと一緒に新しくオープンしたばかりの大型ショッピングモールへ出掛ける予定になっていた。

待ち合わせはパクの都合に合わせて事務所近くのコーヒーショップ。
いつもと同じアイスモカを頼んで窓際のカウンター席に落ち着いたところで丁度パクからメールが入った。

待ち合わせに遅れそう、か。
どうせまたクロロの長話に付き合わされてるんだろう。
パクはすごく合理主義で何でも手際よくこなすくせに、クロロにはとことん甘い。どんなにくだらない事にも根気よく付き合う。
だからクロロの秘書なんかが勤まってるんだろうけど。

―どうぞごゆっくり

一言だけ返信してバッグの中に携帯を放り込み、買ったばかりの雑誌を取り出した。
この近辺の飲食店情報が特集されてて、クロロが経営してる店も何店舗か取り上げられてるはず…あった。
アタシが任されてる店も結構大きく載っていた。

「ねえ、君一人?待ち合わせかなんか?」

来月から始める新しいメニューについて、もうちょっと詳しく書いてもらえばよかった、と記事に目を通しながら考えていると、アタシの斜め後ろでやけに馴れ馴れしい声が響いた。

別にアタシが声を掛けれた訳じゃない。
この街ではよくある光景だし、そんなふうに声を掛けられるのをわざわざ待ってる女だって沢山いる。
アタシには関係ないってだけで。
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