sweets,Inc.

□cherry tower:side P
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「あの…それはさすがに引かれると思います…」


side:P


新しい取り引き先との打ち合わせは滞りなく済んで、後は事務所に戻って契約書類の細々した部分を訂正すれば今日の業務は終了。
マチとの待ち合わせには余裕で間に合うはずなんだけど…けど。

社用車を停めたパーキングへの近道に、ハイブランドが軒を連ねる通りを選んだのが大きな間違いだった。

きらびやかに華やかに、各店舗ごとに趣向を凝らしたショーウィンドウを覗き込んではクロロの足が止まってしまう。
その度に、クラピカに持たせるなら…着せるなら…と繰り返される独り言を聞こえない振りでやり過ごして、何とかその歩みを促していたのに。

世界中のセレブレティ達がこぞって身に付けている、世界最高峰の品質と技術を誇るジュエリーショップの前から、遂にクロロは動かなくなってしまった。
ショーウィンドウに飾られているのは、何処かの国の王女が結婚式で身につけた物を元に、新しくデザインされたティアラで。
ご丁寧にも、ティアラのものとお揃いの形にカッティングされたダイヤを惜しげもなく使ったチョーカーやピアス、エンゲージリングまでもが一揃えにしてディスプレイしてあるじゃない。
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