sweets,Inc.

□brilliant fruits
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よく晴れた日だった。

随分長いこと探していた本をやっと手に入れた俺は、最高の気分で読書を楽しんでいた。
そう、いつもの場所で。

午前中の仕事は思いの外順調に片付いて、この分なら昼休みをちょっと長めに取ってもパクに怒られることはないだろう。
会社のすぐ裏手に大きな敷地を持つ大学があって、そのメインの校舎から程よく離れた場所にあるベンチが最近の俺の特等席だ。

休憩時間に会社で本を読もうとするとどうしても邪魔が入る。
突然の電話だったりアポなしの面会だったり。
ランチついでにどこかの店に入ってもいいんだけど、この界隈には友人・知人が多すぎて一人で集中出来ることはまずない。
運良く一人になれたとしても、俺程の人間が一人でいると世の女性達(ごくたまに男性も)が放っておかないというか…まあ、とにかく俺が魅力的過ぎるせいで、読書一つするにしても色々な苦労があったりする訳だ。

だからほとんど人通りがなく、日差しは木々に程よく遮られ、風通しも最適なこの場所を見つけた時は本当に嬉しかった。
それ以来、ゆっくり本を読みながら昼休みを過ごしたい時はこの場所に来るようにしている。
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