あなたを見ていたい。その場にいれるときだけ。寝顔を見ていたい。言葉はすぐに色褪せる。 心地よさそうにベッドに横たわり、すうすうと寝息をたてる姿は猫のよう。黒い髪がふわふわ、気持ち良さそうな寝顔。起こさないようにそっと頭を撫でてみる。さらりと柔らかい髪が私の指を通り抜けた。 久しぶりに帰ってきたと思ったら、ばたりとベッドに倒れこみ寝てしまった恭弥。相変わらず、無理をしているのだろうか。マフィアの世界を私は詳しく知らないけれど、恭弥が疲れているのは見て分かる。 「恭弥…」 また、柔らかい髪の毛を撫でる。ぴくり、と恭弥の目蓋が動いた。切れ長の目がうっすら開かれる。 「ごめん、…起こしちゃった?」 「いや、いいよ。」 恭弥は体を起こすと私にもたれかかり、言った。 「君が僕から離れていく夢を見た…気分が悪い。」 くらくら、恭弥の声が脳に直接響く。そんなに耳元でしゃべらないでよ、と言いたいけどこうやって甘えた姿勢を取る時の恭弥は格段可愛くて、突き放したらむくれるから、出来ない。 「私はたとえ、死んだって恭弥の傍から離れたりはしないよ。」 たとえこの身が朽ち果ててしまっても、あなたの傍から離れられるわけがない。 「たとえが悪いよ…」 「どうして?」 「君が死ぬわけ無いじゃないか。」 だって、僕がいるんだから。君を死なせたりはしない。だから、死ぬだなんて言わないで。 例えが悪い どんな思いも必ず私は胸に刻むから、遠ざかってもいつでもあなたに会える。 080317 雲雀誕生日企画様へ提出。ありがとうございました。 |