エア春コミスペース
□ぼくんちシリーズ番外編『告白』
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「黎深さまがウワキしているかもしれないんです…」
齢十を過ぎるまだいたいけな子供の口から紡ぎ出された問題発言に、悠舜は用意していた湯呑みを落としそうになった。
久しぶりの公休日−。
溜まっていた本でも読もうかと思っていたら、どうやって知ったのか絳攸が訪ねて来た。
というよりは外でうろうろしていたので招き入れたと言った方がよいだろう。
絳攸もまさか悠舜宅とは思っていなかったようで、出て来た悠舜に驚いていたが、「風邪、治ったんですね。お茶でもいかがですか」と優しく微笑めば、すぐに警戒を解き素直に招きに応じた。
本当に黎深の元に置いておいていいのだろうかと思うくらい純心な子供−、と思っていたが、甘かった。伊達に黎深の養い子をやっていない。人の予想ナナメ上を突いてくる。
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