一輪挿

□いつか、櫻の森で
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『さびしい子供が此処に来るんだよ』


そう言って、木霊の少年は哀しそうに微笑んだ。


『迎えが来るまでずっと此処にいてもいいんだよ』


ならば。
ならば、自分は永久に此処から出られやしないだろう。

−迎えに来てくれる人などいやしないのだから…。


(ずうっと、まっているのに…)


コウはいつものように虚空を見上げると、その大きな眸から涙を一滴、ぽとりと零した。



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