十人十色

□初恋だったかもしれない
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黎深様に拾われるまで、誰からも必要とされたことはなかった。

だから、自分はずっといなくてもいい存在なのだと思っていたし、そんな自分を必要としてくれる人はいないと思っていた。

それは、黎深様に拾って貰った後も同じで。

ずうっと自分は此処にいていいのだろうかと不安に思っていた。

でも、俺は初めて、此処にいたいと望んでしまったんだ。黎深様と百合さんの傍に。


お二人を好きになってしまったから−。


初めて抱いた想い。
だからこそ、不安はより大きく、更に孤独を恐れるようになった。捨てられまいと必死だった。此処にいたいと涙ながらに訴えたこともあった。


『ここに…置いてほしいんです』

許してくれたのは、百合さんだった。


『ここにいていいのよ』


と…。


生まれて初めて抱いた想いを、初めに受け止めてくれたのは、百合さんだったんだ−…。



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