十人十色
□初恋だったかもしれない
1ページ/8ページ
黎深様に拾われるまで、誰からも必要とされたことはなかった。
だから、自分はずっといなくてもいい存在なのだと思っていたし、そんな自分を必要としてくれる人はいないと思っていた。
それは、黎深様に拾って貰った後も同じで。
ずうっと自分は此処にいていいのだろうかと不安に思っていた。
でも、俺は初めて、此処にいたいと望んでしまったんだ。黎深様と百合さんの傍に。
お二人を好きになってしまったから−。
初めて抱いた想い。
だからこそ、不安はより大きく、更に孤独を恐れるようになった。捨てられまいと必死だった。此処にいたいと涙ながらに訴えたこともあった。
『ここに…置いてほしいんです』
許してくれたのは、百合さんだった。
『ここにいていいのよ』
と…。
生まれて初めて抱いた想いを、初めに受け止めてくれたのは、百合さんだったんだ−…。
※ ※ ※
.