押花

□宴の夜
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「新年会?」
「はい」
 絳攸は胡乱気に、それを伝えにきた珀明を見た。
「そんなことをしている暇があるのか」
「――っ、し、仕事も、とりあえずひと段落つきましたし、また今年も一年頑張るぞ、という決意を新たにするために、ここで、一つ団結して――そう、その決意式みたいなもの、です!」
 力説する珀明は必死そのもので、絳攸はちょっと苦笑した。
「なら、好きにやればいい。別に仕事に支障が出ない範囲なら、反対する理由もない」
 確かに、仕事はようやくひと段落ついたところだったのだ。
「あ、いえその、絳攸様にもご参加いただきたいのですが」
「俺が?」
「はい、是非!」
 熱のこもった珀明の視線に、絳攸は思わずたじろいだ。
「上司と部下が酒を飲みながら、親交を深め、気持ちを一つにするのも、新年会の大きな役割ですからっ!」
 そう言われてしまうと、断りがたくなってしまって、結局絳攸は、新年会とやらに参加することになった。
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