十人十色
□ラブ★コレクション
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毎度お馴染み悪鬼巣窟の吏部では、今日も愉快、痛快、不愉快に地獄絵図が繰り広げられていた。
「おい、ここに置いてあった覆面からの報告書知らないか!?今日中にまとめないといけないのに!(焦)」
「ちょっ、この起案まだ決裁取ってねーじゃねーか!誰かちょっぱや各部署駆けずり回ってもぎとってこいや!(怒)」
「の、喉渇いた…。水…、誰か水を…(渇)」
「てか尚書は何処行った−−−!!!(泣)」
仕事に追われる(もはや襲われていると言っても過言ではない)吏部官達は、正に地獄を這い回る亡者の様。
そしてその亡者達に白羽の矢を立てられるのは、最年少の亡者なわけであるが…。
「「「「珀明!!!」」」」
「すいません、今手が離せないんでご自分達でやって下さい」
最年少でも、いまや立派な亡者と成り果てた碧珀明は、手元の書類から視線を上げることもなく事もなげにそう言い捨てる。
先輩亡者達は「生意気な!」と歯軋りするも、(ふ、珀坊も一人前になったな)と変な感慨を隠せない。
その時。
吏部侍郎室からボキッという音と共に、怒鳴り声が飛来した。
「誰か予備の筆を持って来い!」
「は〜〜い、絳攸様、喜んで!!」
((((なんじゃっ、そりゃ−−−!!!!))))
先程と打って変わってメロメロ声の珀明に、吏部一堂は一斉にずっこけた。
そんな先輩官吏達にはやはり目もくれず、珀明は予備の筆をむんずと掴むと、るんたるんたと浮足立って吏部侍郎室へと向かうのであった。
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