Novel

□大量の服
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昼間のちょうど、日が暖かい頃、非番だというのに、副長に呼ばれてしまい、部屋に行くと、そこには、所狭しと、いろんな服がならんでいた。
 
まぁ、座れ。と言われても、座る所どころか、入る場所もなく、とりあえず廊下に座りながら、どうやって並べたんだろうという疑問は隅においやることにした。

「どうしたんですか?この服…?」
 
とりあえず、この状況を知ろうと、いろとりどり、いろんな服の端の机の近くで唸っていた副長に聞いてみたが、返事は…
 
「もらった」

のみであった。

せめて、誰に貰ったのか…どうして並べたのか…くらいは聞きたいが、ただでさえ、この服のことで、苛々しているであろう今、変なことを喋れば、副長の機嫌を損ねること間違いない………。

察するには、たぶん、処分仕切れない、この莫大な量の服に困り切り、俺を呼んだ…ってあたりだと思うが………さすがに多い……。

服は百枚近くあり、その中には女物からナース服まである………それはもう、どうやって、この素晴らしいバリエーションを揃えたのか、本人に聞きたいくらいだ………。

「これ、どうするんですか?」

いつも座りなれている畳ではなく、硬い廊下の板は足が冷えてきてしまう…。早めに終わらしてほしいという気持ちからか、話を切り出してしまった……が、気にしてはいられない。

副長は、そうだなぁ〜…と苛々した手つきで煙草に火をつけながら、服を見つめている。

灰でも落としたら、確実、火事になるなぁ…と心の中で思いながら、煙草を見つめる。
きっと、服に臭いがつくことなんか、おかまいなしなのであろう……。


煙草を消さないよう灰皿に置くと、一枚服を持ち上げた。

ピンクのヒラヒラっとしたフリルの付いたノースリーブだ。
それを目の高さまで持ってくると……廊下の俺と、ノースリーブをチラチラと見比べてきた。

ヤバイ…と冷や汗が垂れるのも、つかの間……


「おまえが着ろ。」

……爆弾発言をされてしまった……。
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