過去拍手文

□Your face, your voice.....Your everything is main.
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 この世界で

 その隠された素顔を

 オレしか知らなければ

 いいのに、

 とか考えてしまう――





「――そういうオレは鬱陶しいってば?」


 いきなり真顔でそう言われ、カカシは目を見張った。


 この青年は天然で、そういう事を照れもせずに言い放つ。
 直接的な言葉には可哀想なぐらい、頬を真っ赤に染めるのに…。


 そんなことを考えながら、ナルトの言葉に苦笑を返した。


「鬱陶しいわけないデショ。むしろちょっと嬉しいかも…」


 ナルトの鼻の頭をツンとつつけば、ナルトは小首を傾げた。


「嬉しいってば?」

「妬いてくれてるんでしょ?オマエはあんまり表に出さないからね、オレは嬉しいの」


 そう言い、カカシはナルトを正面から抱きしめた。ナルトもおずおずと背中に手を回す。

 しばらく互いの体温を分け合っていたが、カカシからおもむろに体を少し離し、顔を見合う。


「んで、顔の話だな。
 まー…飯食ったりする時はこれ外すし」


 と、カカシは人差し指で顔を覆う布を引っ張ってみせる。


「オマエより一回り以上も年が上な分、そういった経験もあるわけで」


 困ったように苦笑いをするカカシ。
 ナルトは少し不満げだ。


「オレの顔を知ってるやつは、確かにいるが…」


 一旦そこで一息つき、適当な言葉を探る。


「…みっともない嫉妬からきた怒りの表情や」


 そういえばと、ナルトは嫉妬深すぎるカカシの怒り狂った時の表情を思い出す。


「オマエのぬくもりに触れた時の安心した表情」


 確かにオレに触っている時の先生は嬉しそうで、安心してるようにも見えなくもない、と頷くナルト。


「今みたいに、こんな穏やかな表情はオマエしか知らないよ」


 カカシ自身は見ることは叶わない表情だが、今までとは明らかに違っているだろうと、自分自身でも予測できる。それ程にナルトの横は居心地がいいのだ。


 改めてナルトに視線を合わせれば、頬が薄いピンクに染まっていた。

 カカシはにっこり笑って、淡いサクラ色のそれにキスをした。


「過去のことは変えられないから仕方ないけど、オマエの横に居るときの表情はオマエだけのものだよ」


 ――それじゃ満足できない?


 優しく耳元で囁けば、ナルトの体がビクリとはねた。


「…ッ…その声、」

「声?」

「そのエロい声も!!オレ以外に聞かせたらダメだってばよ!!」


 カカシは笑って了解と短く答えた。


 そしてもう一度、ギュッと抱きしめ合った。









 自分が

 こんなに

 嫉妬深いと

 思わなかった。


 それは

 貴方が

 相手だからだと

 思わずにはいられなかった――。



20090826
 



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