「letter」の8年後イメージ
そういえば
初めて
キスしたのも
今日だったってばね
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“写輪眼のカカシ”との異名をもつはたけカカシ。任務を終えた彼は嬉々として、家路についていた。家の窓を見上げれば予想通り明かりが灯り、より一層彼を上機嫌にさせる。
軽快に階段を上がり、ドアノブを回せば、扉は何の障害もなく簡単に開いた。
「ただいまー」
そう言いながら、扉を開ければ美味しそうな料理の香りが鼻をくすぐる。奥から足音が聞こえ、すぐに柔らかい笑顔でナルトが出迎えた。
「お帰りなさい、カカシ先生」
カカシは頬が緩むのを自覚しながらも止めることは出来ず、その顔のままもう一度ただいまと囁いて、ナルトの頬へキスを贈った。
恒例のキスを済ませた二人はリビングへと足を進めた。
「うわっ今日は豪勢だね!!美味そ〜!!」
「当たり前だってば!!だって今日は…」
「うん、付き合い始めて8年目だもんねー」
と、カカシは小首を傾げて調子よく言った。
「別に可愛くねーってばよ。
でも、覚えてくれててよかったってば」
「当然っでしょ!!
ね、まだ食べちゃだめ?」
「だぁめ!!先に着替えて来いってばよ」
「はぁい」
カカシは面倒くさそうに返事をした後、自室へと消え、間もなくラフな格好で現れた。
「座って待っててってば。すぐ出来るから」
「ん。何か手伝おうか?」
「んじゃこれそっち並べて」
「了解」
そうして出来上がった料理を前に二人は手を合わせて、口に運んでいく。
「うん、美味しい!!」
カカシはナルトの料理に下鼓を打ちつつ、今日あったことやくだらないことを談笑する。食事をしゆく二人は幸せな一時を送っていた。
数十分後、粗方片付いた料理を下げ、ナルトはキッチンへ。食後のコーヒーとチョコレートケーキを盆にのせ、机に並べる。
「ハッピーバレンタイン!!と、今までありがとう。これからもよろしくってことで。
ケーキは甘さ控えめにしたから、先生も大丈夫なはずだってば」
カカシはフォークで一口分を取り口へ運ぶ。
「うん、美味い。ありがとう」
そう言えば、ナルトも顔を綻ばして笑った。
「ナルトも…」
「え?」
カカシは立ち上がり、正面に座るナルトの横へ並び、ナルトの手を引いて立ち上がらせた。
「先生?」
不思議そうに問いかけるナルトに何も言わず、ぎゅっと抱きしめた。
「好きだよ、ナルト。ずっと大好き。愛してる」
いきなりのカカシの囁きにナルトの頬は紅潮する。その頬を両手で優しく包みながら、ナルトの唇と自身のそれをゆっくりと重ねていく。
カカシからチョコレートの味が伝わることで、常よりキスに集中してしまい敏感に反応を返す。
「ふぅ、ん…」
鼻から抜けたような甘い声を発するナルトにカカシもまた熱が高まり、さらに深いキスへと発展させる。
そしてキスしながら、カカシの手は悪戯に動く。左手は頬を滑り、腰を支えるように腕を回す。右手は頬、肩、腕と順々に辿り、一本また一本と指を絡めていった。
「ぁ、…んせ?」
ふと絡めている指に違和感を感じナルトは薄く目を開けて、カカシの胸を押す。カカシは仕方なく、ちゅと音をたてて唇を離した
「なに?」
ナルトが違和感を感じた手をあげると、カカシの指と絡まれた自身の指の一本に銀色に輝くリングがはめられていた。