「拍手文1Force the Master of Village on Him.」続編
「また!?あーもーナルトォォォ!!仕事しなさぁいっ!!」
空の火影室にサクラの叫び声が響き渡る。それを聞き届けた一人の男はクスリと笑った後、ふらりとどこかへ消えた。
□■□
男の名ははたけカカシ。木の葉の里の上忍をしている傍ら、火影の仕事を補佐する役も持っている。ただ、これは火影直々に言われたもので、正式な役職の名は未だにない。
カカシは火影室から出た後、里の中心地から少し離れた木々が並ぶ広場に足を向けていた。此処はよく子どもたちが遊びに使う場所でもあるが、平日の昼間のせいか人気は感じられない。
カカシは広場をゆっくりと歩き、徐に一本の木の前で足を止め、それを見上げる。
「ナぁルト。サクラが怒り狂ってたよー」
そう木に向かって話しかけた。すると…
「げ…。余計に帰りたくねーってば。一応、急なのは片付けといたんだぜ?」
――と、カカシより若い男の声が響いた。
この男の名はうずまきナルト。彼が木の葉の里の象徴ともいうべき火影である。
二人が恋人であることは、既に里の誰もが知っていることだ。
ナルトが火影になり必然的に忙しくなった。だから息抜きをする場、プラス二人になれるこの場所で二人はこっそり会っていた。
ナルトが木からカカシの横に飛び降りた。カカシはそれを認め、久々に二人きりで会う恋人を見つめる。
「でも、大丈夫?サクラ凄かったから…」
カカシは苦笑しつつ、先ほどのサクラの形相を思い返した。
「う゛…。でも先生と会えない方が大丈夫じゃねーもん…。だからいいってば」
「そ?ならいいけど」
「何だよ、先生はオレに会いたくなかったってば?」
カカシのつれない反応に、ナルトは唇を尖らせてみせた。
そんな子どもみたいなナルトに、カカシは目を細め、ナルトの頬に手を伸ばす。
「誰もそんなこと言ってないでしょー。オレも会いたかったよ、ナルト」
カカシの言葉に満足し、笑顔を満面に広げるナルト。そして頬にあるカカシの手に、自身のそれを重ね、安心したように目を瞑った。
「へへっ。先生ダイスキ…」
昔から変わらない気持ち。
いや、年を重ねる毎に、増している感情。
それを口にすれば、心臓が心地よくも早まるのを感じ、頬に熱が集中するのがわかった。火照った顔を見られたくなくて、ナルトはカカシの肩に顔をうずめる。
カカシは苦笑しつつも背中に左腕を回し抱きしめ、空いた手で優しく髪を撫でていく。
お互いに相手の体温と鼓動に安心する。
「な、せんせ…」
一言の合図にカカシは撫でていた手で顔の下半分を覆う布を下ろした後、ナルトの頬に触れ、ナルトの顔を自身に向き合わせた。
「ナルト、好きだよ」
「…ん…」
引き合うように、静かに重なる唇。
その場だけ音が消え、まるで二人しか存在しないような錯覚に陥る。
やがて、口づけは隙間を埋め尽くすかのように深さを増し、淫らな水音が聴覚をくすぐる。
カカシから与えられる口づけにナルトの息はあがり、切ない声が漏れる。足が崩れかけたが、カカシはナルトを支え、離れることを許さなかった。
そのまま暫く存分にナルトの唇を味わうカカシ。
漸く解放した頃、ナルトの息は絶え絶えに、頬は紅潮し、瞳は濡れていた。
「あーもぉ…」
「はっ…ン…せんせ…?」
カカシの呟きに、ナルトは律儀に何かと聞く。
カカシは困ったように微笑み、ナルトの肩に頭を預ける。そして、小さな声で囁いた。
「そんな顔しないで…。止まらなくなる…」
「う…ぁ…///」
「ふっ…そろそろ帰ろっか。いい加減にしないとサクラの雷が落ちる。」
「うん…」
一人歩いてきた道を、二人手を繋いで帰る。
20081101