「Dear」続編
Honey
バレンタインデーから一ヶ月。カカシ先生、約束覚えてっかな?
バレンタインデーは、勇気を振り絞って、カカシ先生と二人で過ごすことが出来た。
桔梗ちゃんに手伝ってもらったけど、何とかチョコレートも渡せた。…想いは伝えれなかったけど。
そして、バレンタインデーからもう一ヶ月が経ち、いよいよ明日はホワイトデー。
3倍返し…なんて言ったけど、カカシ先生本当に何かしてくれんのかな?
明日何の約束もしてねーし、やっぱ忘れてんのかも。
「考えたって仕方ねーか」
ふぅって溜息ついてから、ふとんに潜って眠りについた。
翌日、カカシ先生はいつものように遅刻して来たけど、待たされた時間は割と短かった。来た途端にやたらとテンションの高い声で「じゃーん!」と言いながら、黄色ピンク水色の3つの紙袋が差し出された。
「ホワイトデーなので、日頃の感謝を込めて3人に!」
オレ、サクラちゃん、サスケの順番に手渡してくれた。
「私バレンタインデーに何も用意してなかったのに、貰ってもいいんですか?」
「いーの、いーの。貰っちゃって」
「ありがとうございます」
「…フン」
「――ッス」
三者三様に返事をする。
――っていうかっっっっ!!!!!
これがお返し!!??
え、何もしてねー二人と同じお返し!!!???
や、比べるもんじゃねーかもしんねーけど、でも…
オレだけのもの、くれてもいーじゃんかよ…。
そのまんまひくーいテンションで一日がスタート。朝から最悪だってばよ。
幸い清掃っていう簡単な任務だったから、目立ったミスはなく、何とかなったけど…。
「おーい、そろそろ昼にするぞー」
先生の一声で、作業を止めて3人並んで木陰に腰を下ろし、弁当を広げた。
お弁当を食べ終わる頃、サクラちゃんが先生から貰ったプレゼントを開いていた。
「カカシ先生のプレゼント、お菓子みたい。今食べちゃおー。
――あれ?」
サクラちゃんが何か気づいたみたいで声をあげた。
「先生メッセージカードまで付けてくれてる。『いつもありがとう』ですって」
「ふーん」
サクラちゃんへのメッセージカードを横目でチラっと見ると、それだけじゃなく、何か色々メッセージが書かれているようだった。自分には一体何が書かれているのかが気になり、手に持っていたおにぎりを一気に頬張ってプレゼントを開けた。するとサクラちゃんが言うようにメッセージカードが入っていた。
ドキドキしながらそれを開くと、ただ一言
『今夜行くから、窓の鍵を開けておくこと』
って書かれていた。
…これって――
そろりと木の上で本を読んでいるカカシ先生を見上げた。すると、カカシ先生は唯一見える片目でウインクしてきた。何か照れくさくって、ぎこちなく首を動かし地面を見つめた。
わ、わ、どーしよ。
部屋今どんな状態だったっけ?何か飲み物あったっけ?夜って何時くらいだってば?飯作った方がいいかな?
――っていうか、コレって…
オレだけだってば?
二人をチラチラ見ると、特に変わった様子はない。
オレだけに会いに来てくれるんだ。
――嬉しくって思わず頬がゆるんだ。