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□Dear
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 Dear




 やっと任務を終え、待機所に着いたと思ったが、早々に呼び出され次の任務を言い渡された。

 今朝の明け方から今まで働かされた挙げ句に更なる任務。労働時間なんて忍に関係ないよねー。残業手当みたいなんつかないかな?なーんて馬鹿なことを考えつつ、任務地へと向かう。

 今回は極秘の任務らしく、内容は伝えられず、依頼主の元まで赴き聞かなければならないという、何とも奇妙な話。オレがいいという依頼主たっての希望もあったらしい。何か怖いけど…。


 ま、そういうわけで、指定された森の奥まで来ている。
 森というだけあって道はない。いや一応獣道はある。しかし草は目の高さまで伸び、周りの木々や根が歩みを邪魔する。
 面倒くさい道のりに大きなため息を吐きながら、足を進めるしかなかった。

 しばらく辺りをウロウロしていると、それらしき建物が見えてきた。2階立ての木で組み立てられた小さな家。


「これ…だよな?」


 警戒しながら、軋んだ音をたてる扉を開け、中を窺う。
 小さな玄関があり、目の前にはすぐに部屋が広がっていた。中央にこちらに背を向けて大きなソファーが置かれ、その前には小さな暖炉がある。壁に沿って簡素なキッチンと家具がいくつか置かれ、右奥には小さな扉と、2階に続く階段がある。東西に大きめの窓があり、今は西日が充分に差し込み部屋の中は明るかった。

 一通り中を確認してから、ゆっくりと部屋の中央に向かう。


「ぅ、ん…」


 何だ?と、ソファーを覗きこむと、金髪の少年が丸くなって眠っていた。


「え、ていうか…ナルト?」


 顔は隠れて見えないが、スヤスヤ眠る少年は明らかにナルトだ。


「何で此処に?
 おーいナルトー起きろー」


 ナルトの耳元に顔を寄せ、優しめな声で呼ぶ。


「ん、何…せんせ…?? ! えっもう来たってば!?」


 ナルトはすんなり目を覚まし、オレを認識するとガバッと飛び起きた。


「どうしてナルトが此処にいるの?」

「あ…あの」


 ソファーの背もたれ越しに向き合い、そう問うとナルトは眉を下げ、困った顔でオレから目をそらした。


「ナルト?」


 名を呼ぶともう一度目を合わせ、しどろもどろに話し始めた。

「えっと…先生は任務って言われて来たってばよね?」

「ああ」

「じいちゃんに何て言われたってば?」

「あー、依頼人と此処で待ち合わせって」

「そ、そーだってばよね…。あの…えっと……っ実は…あの…」


 あ、もしかしてナルトが依頼人か。


「オレが…じいちゃんに、先生に依頼したいって頼んだんだってば」


 その事実を言うことが気恥ずかしいのか、頬を赤らめ俯きがちに言う姿は、普段と様子が違い随分と可愛いらしかった。

 何だか状況を把握しかねるが、とりあえずこの任務の依頼人はナルトらしい。


「では依頼人様、何がお望みですか?」


 どこか緊張してるナルトをリラックスさせるため、面白がって猫なで声で言えば、ナルトはさらに真っ赤になってしまった。


「きょ、今日の残り1日オレと一緒にいることが…カカシ先生の任務だってばよ」

「それだけ?」


 問うとナルトは赤い顔を隠すように頷いた。

 うん、まあ…よく分からないが、取り敢えずナルトといることが今日の任務ってことだよな。
 コイツまた何か良からぬこと企んでるんじゃないよな?

 そんなことを考えていたら、ナルトが不安げにこちらを窺っていた。そして恐る恐る口にする。


「あの…怒ったってば?」


 いつもは自信満々なのに、今は不安でいっぱいという様子がよく分かる。
 安心させるように笑顔で、怒ってないと言うが、それでも表情は晴れない。


「…あの」

「どうした?」

「あ…やっぱ、何でもねーってば。
 なぁ、先生腹減らねー?飯でも食おってばよ」


 ナルトはソファーから降り、オレの手を取る。そして今度はオレをソファーに座らせて、自分はキッチンへと向かった。


「ナルトが作ってくれるの?」

「うん。でも下準備は出来てるから、そんな時間かかんねーと思う」


 少しドキドキだが、勧めるくらいだから食べれないものはないだろう。丁度腹も減ってきたし、ご馳走になることにした。



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