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□恋情
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 オレには父が二人いる。

 ひとりは銀髪で容姿はオレによく似てる。

 もうひとりは金髪で笑顔が綺麗で、目の色がオレと少し似てるんだ。



 だけど二人目の父は、どこか違う。











「はたけサクナ」

「はい」

「アカデミー卒業おめでとう。明日から、下忍だ。しっかりやりな」

「はい」


 オレは担任の言葉なんてどうでもよかった。

 オレは――



 ***


「ナルトくん!!」

「サクナ、おかえりってばよ」

「聞いて聞いて!!今日何があったと思う!?」

「今日?あっ!!もしかして」

「アカデミー卒業した。下忍になったよ」

「すっげー!!本当にすげーよ!!
 今夜はサクナのお祝いだってば」


 そう言ったナルトくんの顔は、オレよりも嬉しそう。太陽のように笑うんだ。

 オレはこの顔が大好き。
 正直オレががんばろうと思えるのはナルトくんの笑顔が見たいからなのかもしれない。




「ただいまー」


 そうしていると玄関から声が聞こえてきた。
 二人の楽しい時間を楽しんでいたのに、父さんが帰ってきたようだ。

「あ、せんせっ!!サクってばまじすげー!!」

「んー何?」


 ナルトくんが嬉しそうに父さんに駆け寄る。


「サクってば、アカデミー卒業したって!!」

「あら、すごい。頑張ったな」


 父さんは手のばし、オレの頭をポンポンと撫でた。
 くそ、ちょっと嬉しい…。


「もー、もっと感動しろってばよ!!」

「まぁまぁ。これでも驚いてるんだけど」

「ま、いいけどー。
 流石先生の子だってば!!
 今夜はお祝いだからな。サクは何食べたい?」

「えっ、あ…何でも…」

「何でもかよ。
 じゃあ、楽しみにしとけってばよ。
 何があったっけなー?」


 そしてナルトくんは冷蔵庫の方へ行ってしまった。


 ――はぁ…。
 また言われちゃった。
 “先生の子”――か…。


「どうした?嬉しくないのか?」


 オレががっかりしてるのが分かったからか、父さんが顔を覗き込んだ。


「別に…」

「まぁ、だいたいは分かるけど」

「…なら聞くなよ」

「くくっ。オマエもまだまだ子どもだな」

「うるさい」

「はいはい」


 またポンと頭に手を置いて、父さんは着替えに自室へ行った。







 オレは、はたけカカシの息子で、はたけサクナ。
 母親とはオレが小さい時に離婚したらしい。

 父さんとナルトくんは夫婦っていうかは分からないけど、まぁそんなかんじの関係。小さい頃からそうだったから、同性というのに違和感はない。むしろそれが普通だ。
 オレが“父さん”“ナルトくん”って呼ばせるようにしつけたのもナルトくんらしい。
 オレを本当の子どものように接し、育ててくれたし、優しいし、オレは父さんよりナルトくんの方が好きかもって思う。

 だからこそ…



「サクナー。ちょっと手伝ってー」

「! はーい」


 キッチンの方から聞こえたナルトくんの声に、漸く意識を戻して、ナルトくんの方へ向かった。





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