2週間の任務を終え、久々に木の葉の里に足を踏み入れる。
任務の終了報告をしに行くと恩師がいた。オレは嬉しくなって、大好きな恩師に駆け寄る。
「イルカ先生!!」
オレに気づいた恩師は、優しい笑みでオレを包んでくれる。
「おぉ、ナルトじゃないか。久しぶりだな」
「さっき任務から帰ってきたところなんだってばよ!!」
この変わらない笑顔にほっとする。
あ、目元の笑い皺は増えたかも。
「そうか。お疲れさん。
あ、そうだ。今度アカデミーを使って誰でも参加できる七夕祭りがあるんだが、オマエも来るか?」
「7月7日ってば?」
「ああ。何かあるのか?」
「確か任務あったはずだってばよ…。せっかく誘ってくれたのに、ごめんなさいってば」
「いや、構わないよ。じゃあ、せめて短冊だけでも書くか?」
そう言って数枚の紙を鞄から出す。
別に書く気はなかったが、恩師が笑顔で言うもんだから頷いた。
「そうだってばね。じゃ、何か書くってばよ」
――短冊か…。
何だかいつもコイツに助けてもらってる気がする。
前もこれに勇気をもらった。
行動を起こせた。
「よし、書けたってば!!
頼むってばよ!!」
「何て書いたんだ?」
「へへっ恥ずかしいからオレが行ってから見ろってばよ!!
じゃーなイルカ先生!!」
「あ…おい、ナルト!!――ったく…」
オレは恩師に強引に短冊を渡して走っていった。
願いが叶う。
そんな日は一生来そうにない。
そう思っていた。
けれど、違った。
願いはオレの理想で、
それを現実にするには、
全てオレの勇気が必要だったんだ。
願いを実現するために、
今何をするか、
何をするべきなのか、
全てはオレがどうするかだったんだ。
「ナールト」
「わーっ!?」
ダッシュで道を走っていたら、いきなり後ろから抱きしめられる。振り向くと愛しい恋人だった。
「カカシ先生!!びっくりしたってばよ」
「帰ってたなら、真っ直ぐオレのとこに来なさいよ」
「ごめんってばよ。でも今行こうとしてたとこだったってば」
「そ?ならいいけど。
お帰りナルト、会いたかったよ」
「オレも会いたかったってば」
恋人の方に体を向けて、ぎゅっと抱き合う。
「先生、寂しくって何度ナルトを追いかけようと思ったか…」
「もー、大げさだってば!!」
「それ位会いたかったってこと」
「――っ。先生、恥ずかしいことサラっと言い過ぎだってばよ…。もぅ。
――な、家帰ろってばよ」
「そうだな、疲れたろ?ベッドでイチャイチャして休も?」
「何か先生と一緒にいたら休める気がしねーってば…」
「どういう意味よそれ?」
「まんまだってばよ!!」
そうして二人並んで、笑いながら、家へと足を向けた。
願わくは、
未来を
大切な人と共にあり、
貴方と共にあり、
皆が幸せに
暮らせる世界に―――‥。
「“皆を幸せにする火影”になる、ね。
アイツらしいな――‥‥」
恩師は慈愛に満ちた笑みを湛えていた。
20090705