「カっカシせんせー!!」
って元気過ぎるナルトの声とドンという衝撃。
「ぅお!?こらナルト、いきなり飛びつかないの!」
「へっへー!!怒るなってばよ、先生」
オレの背に乗り、太陽をバックに明るく笑う子ども。
うずまきナルト。
煩い子。
孤独を知る子。
暖かい子。
一生懸命な子。
オレとは反対の性質の子。
オレの部下。
九尾のよりしろ。
先生の忘れ形見。
で、
――オレの好きなヒト。
「今日って先生の誕生日だってば?」
オレの横を歩くナルトが見上げながら前ぶれもなく言った。
「え…ああ、そういえばそうだね」
「じゃあさ、じゃあさ、オレってば祝ってやるってばよ!!プレゼント何が欲しいってば!?」
「あ〜…欲しいものは…」
プレゼントっていわれてもなあ…。
そりゃオマエを頂けたら万々歳なんだけども…。
「……特にないね。」
そう言うしかないな。
「えー!?オレが出来る範囲なら何でもあげるってばよ?何か考えてってば!!」
「ん〜。一番欲しいものは今は手に入らないんだ。レアだから、確実に手に入れたいしね」
「レア?貴重なものなんだってば?」
「半分正解。半分ハズレかな」
「それって何なんだってば!?」
「え〜と、生き物?うん、生き物」
「生き物?って犬とか?新しい忍犬でも欲しいんだってば?」
「う〜ん…犬というか…。ま、特徴を言うなら、黄色っぽい毛に、水色の瞳で少々うるさい生き物」
「はぁ〜?そんなんわっかんねーってばよ!!!!先生教える気ねーだろ!?」
ぷくっと頬を膨らましたナルトは叫んだ。それを何とか宥めつつ、そんな二人の時間を楽しんでいたりするのも事実。
「な、じゃあさ、オレんち寄ってかない?」
ん?いきなりどうして、じゃあで、ナルトの家に?
そりゃ勿論嬉しいから二つ返事でおっけー。
ナルトは少し驚いた後、キラキラ輝く笑顔をくれた。
ナルトの家。
椅子を引き腰をおろした。
ナルトはオレにコーヒー、自分にはミルクを入れる。
それから少しいびつなショートケーキを持ってきて、「はっぴーばーすでー」って照れながら呟いた。
「…オレに?」
当たり前なのだが、確認のために尋ねる。
こくん、頷くナルト。
「ナルトが作ったの?」
そのまま下を向いたままのナルトの頬は恥ずかしいのか、ピンクに染まっていた。
「ありがとう。嬉しいよ。」
そう言うと、またキラキラ輝く、少し照れた笑みをくれた。
二人でケーキをつつく。意外にもケーキは美味しかった。まぁ、ほとんどナルトが食べたけど。
楽しい時間は一瞬で、オレは帰ろうと立ち上がった。
「ありがとう、ナルト。」
もう一度お礼を言った。
ナルトはぶんぶんと首を横に振った。そして頬を染め、視線をウロウロさせながら、口を開いた。
「今日、先生に予定があったらどーしよーって思ってたけど…良かったってば///」
ナルト…。
ああ、どーしよーはこっちのセリフ。
本当…こんな悪い大人にそんな言葉言っちゃダメだよ。しかもそんな顔をしたまま…。
何も反応を返さないオレに不信感を抱いたのか、ナルトは恐る恐る顔をあげた。
心配そうな、でも耳まで真っ赤なナルトの顔。
あー…
もぉ。
知られてないはずの誕生日に
偶然ナルトに会い
所々、不自然な会話の後
家に招かれ
用意されたコーヒーと
ケーキ。
それから
「ナルト…」
可愛い可愛い告白。
「もう少し居ても良い?」
2008.9.15
もちろん応えはキラキラ輝く満面の笑み。