任務帰り、オレンジ色の太陽を背に、一人歩く。
ふーと長いため息を吐き、顔をあげ、足元にあった視線を前方に向けると、恩師がいた。
いつの間にか心地いい彼の元へと足を向けてしまったらしい。
「イルカ先生!!」
彼はオレの声に気づき、こちらを振り返った。
「ナルトじゃないか。」
手を振る人は優しい笑顔をオレに向けてくれる。
「任務、終わったのか?」
「そうだってば。」
「そうか。お疲れ様。」
「先生、その笹なんだってばよ?」
ん?と彼は肩に担いだ笹を見る。
笹には色とりどりの飾りが付けられ、しかし大量に飾られ、もっさりとしているせいで、あまり綺麗とは言えない。
「これは七夕の飾りだよ。教えただろーが。」
たなばた――。
もうそんな時期か。
「そうだったってば?覚えてねーしっ!!」
にししっと調子よく笑ったら、頭を軽く小突かれた。
だが、それでも彼は優しく笑っている。
「この短冊に願いを書くと、その願いが叶うんだ。今日子どもたちに書かせたら、こんなことになった。
オマエの時もやったはずなんだがな…。」
落ち込む彼に、そうだったってば!!って慌てて言った。
願いが叶う。
そんな日は一生来そうにない。
そう思ってたのに…。
まんまと叶えられてしまった。
――信じてもらえますように…。
イルカ先生は信じてくれた。
今はそんな友達も沢山いる。
「ナルトも書くか?」
余っているぞと彼は数枚の短冊を取り出した。
もう一度、これにあやかってみようか。
――かの人が少しでもオレを愛してくれますように‥‥。
って。
20080707