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□切願
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 任務帰り、オレンジ色の太陽を背に、一人歩く。

 ふーと長いため息を吐き、顔をあげ、足元にあった視線を前方に向けると、恩師がいた。
 いつの間にか心地いい彼の元へと足を向けてしまったらしい。


「イルカ先生!!」


 彼はオレの声に気づき、こちらを振り返った。


「ナルトじゃないか。」


 手を振る人は優しい笑顔をオレに向けてくれる。


「任務、終わったのか?」

「そうだってば。」

「そうか。お疲れ様。」

「先生、その笹なんだってばよ?」


 ん?と彼は肩に担いだ笹を見る。
 笹には色とりどりの飾りが付けられ、しかし大量に飾られ、もっさりとしているせいで、あまり綺麗とは言えない。


「これは七夕の飾りだよ。教えただろーが。」


 たなばた――。
 もうそんな時期か。


「そうだったってば?覚えてねーしっ!!」


 にししっと調子よく笑ったら、頭を軽く小突かれた。
 だが、それでも彼は優しく笑っている。


「この短冊に願いを書くと、その願いが叶うんだ。今日子どもたちに書かせたら、こんなことになった。
 オマエの時もやったはずなんだがな…。」


 落ち込む彼に、そうだったってば!!って慌てて言った。





 願いが叶う。

 そんな日は一生来そうにない。

 そう思ってたのに…。

 まんまと叶えられてしまった。


 ――信じてもらえますように…。


 イルカ先生は信じてくれた。
 今はそんな友達も沢山いる。




「ナルトも書くか?」


 余っているぞと彼は数枚の短冊を取り出した。

 もう一度、これにあやかってみようか。


 ――かの人が少しでもオレを愛してくれますように‥‥。


 って。







20080707


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