もしカカシがオレと同い年だとしたら――
もしオレがカカシと同い年だとすれば――
関係は変わっていたのだろうか?
結局、只の仮定論に過ぎない…。
木の葉の里の商店街を一組の男女が歩いていた。
男はこの里の誰もが知るはたけカカシ。忍者としての実力も高く写輪眼のカカシとの異名をもつ。
カカシと腕を組む女はくのいちのようだ。漆黒の長髪、豊満な胸にくびれた腰、長い手足。数え上げたら切りがない、魅力的な女性だった。
並んで歩く二人は、行き交う人の誰もが振り返る程、お似合いの恋人同士だ。
その二人の様子を離れた建物の屋上から少年が眺めていた。
少年の名はうずまきナルト。下忍としてカカシに師事している。お騒がせのドタバタ忍者で周囲に迷惑をかけつつも、その元気で真っ直ぐな性格に周囲の人間は、知らず知らずの内に引き付けらる。そんな人間だ。
ナルトからは二人の姿はよく見えていたが、カカシは気づいていない。
ナルトは呆れた表情を浮かべながら、何かを指折り数えていた。
「これで何回目だろ?あん時で5回目だったから…6、7…8回目の浮気か?
もう疲れたってばよ、カカシせーんせ」
小さく呟かれた声は、誰に聞かれることもなく消えていった。