宝石

□遠く離れても…
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『そちらでの生活にはもう慣れましたか?
日本は大分涼しくなって、秋がすぐ側にまで来ています。
有利、身体に気を付けて!』


 あなたに、会いたい!


伝えたい想いを飲み込み、送信した。

時差の関係上、返信がすぐに返ってくることなど滅多にない。
明日、もう一度、確認しようとパソコンを閉じるところに、メール受信の小さなメロディが響いた。

もしや、と思う。
期待に胸が膨らむが、こちらの
時間帯を考えると、有利がいるロサンゼルスでは深夜帯にあたる。そんな時間に有利が返信してくることなどないに等しいのだ。

期待を押し込め、メールを開いた。
送信元は、有利・・・


こんな時間帯に!?
何かあったのか?
喜びと不安を抱きながら、文面に目を通した

内容を確認するように、さらりと文字をなぞっていく。そこには、とりとめのない内容と、ロスでの生活が綴られていた


『日本だと、こんばんは、ですか?
おれは元気にしています。そっちは、涼しくなっているんですね。ロスはまだまだ暑いですよ!
おれも、ウェラー先生にメールしようと思っていたので、ビックリしました!
本当に奇遇ですね!』

『こんな、時間まで起きているのですか?
無理は禁物ですよ』

『やることがあって。
おれは体力だけはあるんで、平気ですよ!
ウェラー先生のほうは、変わりありませんか?』

『いつもと変わらない日々を過ごしていますよ
優秀な教え子がいなくて淋しいですがね』





 
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