宝石

□遠く離れても…
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「小林先生と藤井さん、今ごろヨーロッパかな!?
渋谷先生もいなくなっちゃったし、他の研修医の先生たちも次の科に行っちゃったからなーんか、淋しくなりましたねー」

「すぐに、また新しい研修医がやってきますよ」

「ウェラー先生も、淋しいんじゃないですか?
渋谷先生、いないし、あんなに仲良かったじゃないですか!」


看護師の問い掛けにコンラッドは苦笑いを浮かべ、パソコンから一度、視線を外したがすぐにまた仕事をこなしていく。




有利と別れて、あれから一週間が経つ
有利に渡したジュリアからもらったネックレス。
お守りだと言った。知らない土地で挫けてしまわないように、負けないように、きっと、あの石にはそういった力が宿っているから。
有利をどうか守ってくれ!

誰よりも優しく、誰よりも強い。そして、あの綺麗な心を、どうか守ってほしい。





高い西の空に広がる赤とオレンジが混じりあった夕焼けを見ながら、コンラッドは深いため息
をついた。

有利・・・
もうすぐ、季節が変わる
秋が来て冬が来て、あなたがいない季節を俺はどれだけ過ごせばいいのだろう・・・・


そんな感情を隠すようにコンラッドはメールを打っていく




 
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