連載

□彼の恋を願うまで。
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ジャボジャボジャボ


『ってゆーか…普通さぁ、過去に行くスタート地点は机の引き出しの中じゃね?』


足を濡らす冷ややかな水。
俺達がいるのは、いつもと変わらない血盟城内の中庭の噴水だ

つまり、スタツアで落ちた所からまたスタツアする訳で…

コンラッドは居なくなってしまった訳で…

父さん、初夏の水は生温いです



「贅沢言うなよ渋谷!
僕があれだけ眞王に頼み込んだから、行けるって話なんだそ〜
だいたい…何でウェラー卿なんかの為にここまでするんだかっっ?」


ザッと村田が土を蹴った
昭和かっっ


『そりゃ村田には感謝してるさ!ってか、王様は国民が行方不明なったらどうにかするもんだろ』


「ふーん…
私情は一切無い訳だ?」


『モチのロン』


俺も昭和だな。


しかも、嘘だ
本当はコンラッドだから
戻って来て欲しいから…
もし、俺が呪いに掛かったせいで彼が苦しんでいるなら
一刻でも早く助けたいんだ


眞王廟の巫女達が噴水を囲む
ギュンター、ヴォルフラム、グウェンダル、アニシナさん、ツェリ様…
眞魔国魔力特盛戦隊の皆さんも、手の平を俺に向けてパワーを送ってくれている
彼等の力を借りて、スタツアの空間を無理矢理こじ開けるのだ

おらにMP分けてくれぃ!

…いや、端から見たら変な儀式テイストの虐めだから。
ギュンターの目が血走ってて怖いし…



シャアアアアー


過度の魔力に耐え切れない水が、天に向かって沸き上がる
目前の水のカーテンで村田と俺は隔てられてしまった。
綺麗な水色の視界になる
空を見上げれば、同じ色が見えるわけで
今、コンラッドはどこにいるんだろう?

胸の石が微かに熱を持った気がした







 
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