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□灰の罪
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罵る言葉も飲み込んで
歎きの言葉も飲み込んで
許しを請うことさえしない



部屋の薄暗さなんて気にも止めず、簡素なドアの鍵をしめた
俺は逃げ惑うユーリの舌を追ってベッドに沈んで行く
乱暴に柔らかいシーツに彼の肩を押さえ付けた
荒い息遣いまでもが妖艶で
湿った瞳が、すでに俺の性欲を掻き立てていた
深いキスをしながらも
肢体をまさぐる手を止めることは無い。



愛してる
なんて言葉はいらない
言ってしまえば、彼を追い詰めるだけ
不粋に渦巻く欲望に、ユーリを道連れにする事は出来ないよ



『ぁあ……、ンアァッ…』


弱く歯を立てて彼の首筋に噛み付いた
こんな事さえも感じるなんて淫乱になってしまったんですか?
早くも先走りで濡れた下着を取り去り、敏感なソレへと舌を這わせる……ねっとりと……まるでマーキングをするように



俺は最低な人間だ
愛する人の為に自己を抑えられない。
こんなに好きなのに…
この愛は貴方を傷つけるだけ
ただ愛してるだけなのに…
好きで好きでただ貴方が恋しくて



『…んぁ、…んっ…フウッ、あ』


《…イイ?ここなんて、凄い事になってる…腰ま、…で浮か、…せちゃ、って》


突き上げた己でユーリの内壁をえぐる様にこすり上げた
熱と快楽で流れるユーリの涙を舐めとる
そのままキスの雨を降らせるが、腰の律動は止まらない
震えていた両手も今では俺の背中へと回されていて、激しい腰の揺れ毎に傷痕を残していく
痛みが走ったけど
もっと感じて、もっと残して欲しかった。
わざと水音を響かせて鼓膜からも彼を犯していく
時が経っても癒えない位、貴方の跡を残して下さい
ユーリの体温を忘れない為に彼の根元を強く握り、思考だけをイかせる



いっその事狂ってしまえば…
快楽に溺れて俺無しじゃ生きられなくなれば良い
王座なんて放り出して、どこか遠くの村で二人きりで暮らすんですよ。
子供は出来無いけれど、隣家の子達で野球チームでも作れば楽しいかもしれない
太陽の下で輝く瞳。
グローブがボロボロになっても
スライディングして、足に擦り傷が出来ても
貴方が笑顔でいられるなら
俺は何もいらない。



『あ…ヤダ、…ッは』


世話しなく首を振り限界を訴えるユーリ。
窓のカーテンから木漏れ日が彼を照らし、熱くなった体に陰影を着けていった
きつく閉じられたまぶたは、開く気配さえもしていない
優しく出来ない俺を貴方は嫌いになれるだろうか
こんな形の最後を、貴方は忘れられるだろうか
動きを止めて口を開く


《ダメだよ目を開けて?
俺を見てなきゃ、イかせない》



俺を忘れて下さいね?
決して愛し合わないように側から離れるから。
貴方に降り懸かる不幸は
全部俺がどうにかするよ
そうやって、愛を示せば良いんでしょう?



眠る横顔が微笑んでいるのを確認して、部屋を出ていく
涙の跡を右腕で擦って消した
そうして俺は言葉を吐き出す
一度も呼ばなかった名前を


《ユーリ……愛していました》






 
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