Under

□黒い罪
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抱きしめる事だけが愛の表現では無いはずだ
裏切り者の俺はそう思う資格すらない。


縋り付くユーリを引きはがした
絶望の瞳を向けてくる。


その首筋のキスマークを付けたのは誰?



ユーリを傷つける事は確かに分かっていた
これを機に心なんて
捨ててしまうつもりだった

なのに何故だろう?
愛は深くなるばかりだ


ユーリは小さく呻いて座り込む。腰に激痛でも走ったのだろうか
触れる肩はやけに色めいてて
俺の本能が引きずり出されそうになった



彼の胸に埋もれたい…彼の欲望を暴きたい…彼の声で耳を壊してしまいたい
誰か俺の心を殺してくれ!
いつまで、抑え続けなければならないのか


ヨザックが角から姿を見せた
陰っていて、表情を読み取る事は出来ない


「ユーリ、そいつ…ウェラー卿コンラートは敵だ。側に寄ってはいけません
貴方の護衛はこの俺ですよ」


ユーリ…ユーリ…俺は失う事を恐れている
貴方以外何も要らない
そう言い切る事の出来ない
俺を許してくれ


泣きながら名前を呼んばれた


『…っ…やめろよ…コンラッド!コンラッド!!助けてくれっ』


どんどん増えて行く赤い痕
ヨザックの唇が切れて、ユーリの頬に血を付けていく



どうしろと言うのですか
貴方の全てを俺に下さい。



そしたら
きっと何もかもが解決するから





裏切りに、裏切りを重ねる俺から離れて行かないで

こんな不幸でさえも、愛の証なのだと言ってみせてくれ








 
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