キリリク

□364日16時間29分07秒
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俺は城中を駆け回っている
ユーリを起こせなかった朝からずっと
昨夜彼を寝かしつけたベッドでは、ヴォルフラムが我が物顔でイビキをかいていた
テンションがた落ちになったのは言うまでもない
そんなこんなで
恋人の部屋を行ったり来たりしているが何度覗いても、もぬけの殻で…
通りすがりの兵士やメイドに尋ねてみても
さぁ?
の一点張りだった
ユーリ、?マーク出したいのは俺の方ですよ
あれほど迷子にはならないで下さいと言ったじゃないですか!

「ユーリ?
あぁー…昨日の夜、いきなり起き出して地球に帰ったな
『やべぇ明日はオープン戦だったあぁぁぁ!!』
とかなんとか叫んでた」

ありがとうプーやん
オソヨウでユーリの物真似をさせてしまってすまない
でも似てないから。
ユーリはもっと可愛いよ
どんな汚い言葉が彼の口から出ても、俺には語尾にハートが付けられて聞こえるんだ
それでも俺は傷ついてた
彼の行方は分かったが、弟に微かな嫉妬を覚える始末。
俺に一言あっても良いはずなのに…
野球好きを否定する訳ではなく、せめて見送りぐらいしたかったのだ
世界を自由に行き来するユーリ
貴方が帰られるのは久しぶりだから、この感覚を忘れていた
寂しい
こっちから会いに行けはしない
恋しい
貴方がいない間、俺が出来るのは待つ事だけ
一秒でも離れていたら
貴方の心まで離れて行ってしまいそうなんです

『ッコンラッド!?』

悶々としていた俺に、最愛の人が声をかけてくれた
風呂場から現れたユーリは、全身びしょ濡れで、ワイシャツの肩を寒そうに撫でている
え…もう帰って来たんですか?
なんて思わず問い掛けてしまえば、天使の笑顔が崩れ去り、真っ赤な顔した彼が俺の腹を蹴る
元気そうで良かった
この痛みでしみじみと悦に入れる俺は、マゾなのかもしれない





 
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