キリリク

□飾りなんて必要Nothing♪
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くそぅ…



慣れない格好で、短距離なのに息も絶え絶えだ
見張り番に見つからない為
存在も知らなかった抜け道を通る。
寝室のクローゼットの壁をずらして…地下に繋がる階段を下り…冷凍庫の豚肉の側を走って来た……
ぶっちゃけ、もうヘトヘト


「ほら坊ちゃん、急いで!!
そこのフェンスから向こう側に行ってくだせぇ」


ボロボロのドアを、勢い良く開けた
視界に目一杯広がった青空!
久しぶりの太陽が眩しい
どうやら裏山の中腹に出たようで、城全体が見下ろせる

春過ぎた風が気持ちいい。
こんな日の草野球は、さぞ楽しい事だろう
スカートじゃ 無理だけど

ただ城下街に行きたかっただけなのに、あの頑固な名付け親のせいでっ…!!




それは遡る事数10分前


『メイド服 ああメイド服 メイド服。』


「それが、ヒップホップってやつですか?」


隣には仕事道具を広げたヨザックがいた
お袋のよりも数倍でかいメイクボックスの中は、七色に光っている
ヒラヒラとレースの揺れる絶対領域
ボタンが沢山あるから、着にくいのだが…それを脱がすのが楽しいらしい(兄貴談)
完全におもちゃにされた…
鏡に写る自分は、女の子
ウインクして見せても、吐き気が込み上げるだけ


『違ぇ…SEKAIISANの素晴らしさを伝える川柳だよ』


「さぁさぁ最後に、カツラを付けて…っ完成!!さすが坊ちゃん可憐な美少女になったわ〜」


名古屋巻きだか大黒●きだか知らないが、ギャルチックなカツラは首に不快感を与える


『城を抜け出す位、いつもの変装で十分だろー?』


「隊長にばれたら、また怒られちまいますよ〜ん☆
自信持ってください!メッッッチャ可愛いですからっっ」


女子高生気分でクルクルと髪をいじってみた


『…ふーん。
まぁ あっちに着いてから着替えれば良いか』


過保護なコンラッドは、フラリと出歩く事を許してくれない
俺は、ヒッキーにもニートにも成るつもりが無いのに!!
とヨザックに歎いたのが運の尽き。
どこで仕入れたのか
奴は眞魔国特製家政婦専用被服…つまり、この国のメイド服を携えて俺に遊びの誘いをしやがった


『ところで、どうやって街まで行くんだ?
城門通ったら見つかるんじゃないのー?』


「誰にも見られないようにしないとな…惚れられたら大変だ」


誰が惚れるものか…
勝利のギャルゲーキャラの方がよっぽど、萌えるってもんだ




 
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