キリリク

□実の所 大出費!
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『グレタには赤い靴だろ、 ヴォルフラムには安眠用の抱き枕… グウェンダルへは春の新色の毛糸を。
グリ江ちゃんのは、ツェリ様が取り寄せてくれた香水で
ギュンターは…俺のTシャツでもあげれば良いかな?』


「きっと大喜びですよ」


三人乗りの荷馬車には、赤 青 ピンク 色とりどりのプレゼントが積まれている
指を差して、誰に宛てた物か一つ一つ確認していった


眞魔国民は全員俺の子供だろ?


と零したのはユーリ。
彼はもうすぐ、地球へと帰る事になっていた
中間テスト云々が近いらしい…

そして王の居ぬ間に苦しくも過ぎてしまう The Boy's Festival
…つまり眞魔国の暦上 5月5日にユーリはこの世界にいないのだ。

子供の喜ぶ顔を見たいのが親というもの。
ユーリは なけなしの小遣いをにぎりしめ各人への贈り物を買うために、城下街へと繰り出していた
心配症の名付け親と荷馬車を引く運転手を連れて…


「お荷物はこれっきりでございますか?」


『あっちょっと待って、もう一つ欲しい物があるんだ…』


何故か照れているユーリ。

《お探しの品があれば良いのですが》と?顔のコンラッドと共に、荷物の見張りを頼み 街の散策を続行した




ザワザワザワザワ

『うわぁ…すごい人だなぁ』

広場は様々な露店によって賑わっていた。港から仕入れた鮮魚や、手製のアクセサリーで所狭しと埋め尽くされる店棚。

行き交う人の頭髪は七色で、そろいもそろって美形ばかりだ
やっぱ魔族は違うな〜
と思っていたユーリの手を コンラッドが繋ぎ取る


《ユーリ、離れないでくださいね。知らない人に話し掛けられても、無視してください》


『おいおい…そんなの感じ悪すぎだろ!
大丈夫だから、もう子供じゃないんだからさー手ぇ離せって』


《恥ずかしいの?…念のためですから我慢して》


コンラッドはクスクスと笑いだして強く手をにぎりしめた
しかし、真っ赤になったユーリがグイグイ手を引っ張るので、呆気なく人並みにのまれる二人


『…あ〜れ〜』


遠くなる麗しき声


《っユーリ!?
…全く…一目なんか気にしなくてもいいのに…》


困り顔で呟く
彼は、過剰な程に恋人である事実を隠すユーリに 少しばかり不満を覚えているだった

執務が忙しいのも分かるが、少しはイチャイチャしたいと思ってもいる
しかし、そんな事はつゆ知らず
国>グレタ>野球>食>恋人 という基準で生活するユーリの気持ちが、コンラッドには分からなくなっていた


俺が好きだと言う意味を、勘違いしてるんじゃないだろうか…


というのが百戦錬磨のモテ男の最近の悩み







 
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