キリリク

□朱く繋がりたいの
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愛しの恋人には何時でも会いたいもだ。

夜中の場内は静かだったヒヤリと足の裏を刺す程冷たい。
中々寝付けないから、と厨房に水を取りに行く道中には コンラッドの部屋が。


彼はドアの前で誰かと話しているようだ こんな夜中に誰だろう…見覚えの無い人だ

そして長い髪の女性は、部屋に招き入れられた。



疑惑よりも先に頭をよぎった 

俺も入った事無いのに

足が床に吸い付いてて動かない





《陛下、どうしたんですかこんな時間に…すっかり冷えて。》


何時間そうしていたか分からないが、やっと中から二人が出て来た。
女性を見送ってから、ドアの裏側で縮こまっていた俺を見つけてコンラッドが言う。




半ば強引に暖炉の前に座らされた 恋人の部屋に初めて入ったというのに、さして感動は無い


『意外に綺麗だな…』

綺麗というよりは閑散としているが


《何か飲み物をお持ちします》


俺はサイドテーブルに目をやりながら、ベッドの端に腰を下ろした。

彼のモノでは無い香水の匂い 

二つ並んで置かれたワイングラス

一体、ここではどんな会話が繰り広げられたのだろう


《新茶葉のアップルティーです 暖まってください。良い香りでしょう?》



コトリと目の前に小さなティーカップが置かれた
安心する甘い匂い。大好きな彼の入れる大好きな紅茶。

でも、ニコリと微笑んだ彼の唇は切れていた


ねぇ
もしかして
俺以外の人とキスでもしたの?








 
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