黒の死者 旧
□休養中
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投げられたリンゴと一緒に、紙が数枚貼られている。
「………これは本当ですから。」
「わかっとるって。」
ジスタは軽く笑い、その紙を広げた。
昨日の廃墟の情報である。
「約80年前に教会が移動、その後はダヒィー家があの屋敷を建てました。」
野菜を切る手は止めずに淡々と話す。
ジスタはリンゴをかじりながら、二枚目の紙を見た。
あの女性は何者か、そして呪いとは何か、知りたかった。
ジスタはその事を麗矢に言っていない。言えばまた謝られるからだ。
「―――できました。」
「あ、ああ。けど早いの。さっきまで作ってなかったか?」
「………時差ボケですね。可哀想に。」
「Σまだまだ元気じゃ!!」
料理を見ると野菜スープにフランスパン。
病人扱いかとジスタは思ったが甘んじた。
「………どうですか?」
「ん、美味いぞ。また腕上げたな。」
そう言われ麗矢は少しはにかんだのをジスタは見逃さなかった。
「(普段もこう、笑えばいいのに……)」
そういかないのが麗矢だ。
長年の付き合いからジス
タは分かっていた。
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