黒の死者 旧

□しろいやみ
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息苦しさに目が覚めた。


誰かが自分の胸の上に乗っかっている。ぼんやりとしていてよく見えない。
目を凝らして見続けると、白髪交じりの老婆が映った。





「…ユナか……」





ユナ、と呼ばれた老婆は顔を上げる。そして嬉しそうに笑うとジスタの上から降りた。
どうやら起こしていたらしい。


ジスタは体を起こし、ユナに問いかける。





「なんで貴様がここに?」



「あんたの子分に引き取られたのさ。昨晩は走り疲れたよ。」



「……麗矢は?」



「ソファーで寝てるよ。」





顎で指された方を見るとソファーのクッションに埋もれて眠る麗矢の姿。
今やっと麗矢のベットで寝ていたことに気付く。心の隅で小さく謝り、ゆっくりと起きあがる。


その様子を見たユナは僅かな違和感を感じた。






「どうしたんだい?」




座りたいのかジスタは椅子の方へ歩く。





「………ガルトが見つかった。」






そう一言呟くと、一番近くの椅子に寄りかかる。かなり体力が落ちていることに苛立ちを覚えた。


ユンが驚いているのが気配で分かった。ジスタは、眉間に皺を寄せると小さく話しかける。





「適切には『生きている』、まだ姿は見ておらん。」




「じゃあ……犠牲者は…」




「今の所フィオール一人じゃ。だがいつ死人が蘇るか分からん。」




最後に見たフィオールの悲しそうな表情。
そして骨になっでまでも威嚇のためだけに使われた娘を思う気持ち。

どうして人間は、こう、人を思いすぎるのか。



ジスタにはその理由が分かるから、余計にフィオールに感情が入ってしまう。










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