黒の死者 旧

□矛盾の痕
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フィオールの姿は、あの時のよう―――






「ガルト!!馬鹿か貴様!!」




叫んだが返事は無い。
セロは諦めたようにジスタに話しかける。



「馬鹿なのはお前、裏切り者。」


"裏切り者"という言葉に反応したのか、フィオールが歯を鳴らす。




歯の間から砂がこぼれた。




「セロ……貴様…まさか、」


「主人!!」



麗矢の慌てた声。
振り向けばフィオールの手が顔を掠める。
その手を掴み、握りつぶす。






枝を折るような音がした。





「うわっ非道。」



その声が嬉しそうなのは仕方がない。
ジスタは手を離すと、フィオールとの距離を置いた。






不意にセロはジスタから目を離す。

他に此処にいるのは――――



「あ、そうだ。麗矢…だっけ?」




セロが名前を呼べば、フィオールは麗矢の方へ顔を向ける。
ジスタはセロに非難の目を向けるが一向に気にしないらしい。





「……そうですが何か。」


明らかに嫌悪感丸だしな麗矢にセロは両手をあげる。


「落ち着けよ、生き残りさん。良い連絡だ。」



「は……!?」



目を開く麗矢を気にせず喋り続ける。
口元がどんどん歪む。




フィオールの時と同じと気付くのは遅かった。




「隣町は見事、悪魔の巣になりましたよ。」





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