黒の死者 旧
□利用価値
1ページ/5ページ
蹴られた時、口の中が切れた。
不快感を覚えながらも女性の後を着いていく。
今ここで抵抗したらどうなるか―――試したい気持ちもあったが大人しくした。
この時、ジスタは少し興味を持っていた。
「――――何笑っているの?」
足音が止んだ。
眉間に皺を寄せ、女性が振り向く。
ジスタは思い出したかの様に呟いた。
「名前、じゃったな。」
「名前?」
「貴様の名前じゃよ。」
また笑うジスタに疑問を抱きながらも教える。
「…フィオ―ル……」
「それじゃあ貴様は教会の人間か?」
「………ええ。」
顔を曇らしたフィオールを見ぬフリをする。
また歩き始めた。
今度は話し声と共に。
「何故魔女に?」
「言ったでしょ、アンの為よ。」
「…そのアンは死んだのか?」
「まさか!?待っているのよ私を。私はアンを見つけるまで、この力を無駄にしたくないの。」
「呪いとやらは」
「私のタイムミリットだったわ。制限時間を付けられてた。」
≫